2014年8月30日土曜日

パンチャス&アジアユースオケ、英雄の生涯と感動アンコール

 ここ1週間は秋雨の如く雨がち、しかも日中でも20度前後と異例の低温続き、久々に朝テニス、午後コンサートの典型的休日ながら、予報は午前中雨。

 しかし、先日亡くなった母の"晴れ女"度が継承されたか、その前後は降っていたのにテニスの時間帯だけ雨降らず、一瞬陽が射した程、久々にシングルス練習 。

 午後はアジアユースオケ、例年オペラシティだったのに、今年は何故か芸劇、しかもそれに気付いたのは前夜、危ない危ない。

 今年の公演はジャッド担当はメインがチャイコの5番でパンチャス担当が英雄の生涯、好みからすると後者ですが、こっちはダブルメインで、後半がベートーヴェン3番なのが辛いところ、でも例年ツアー最終日は感動のアンコールがあるので我慢することにしてこっちに参戦。

8月30日(土) 芸術劇場
 リチャード・パンチャス&アジアユースオーケストラ バーンスタイン "キャンディード"序曲、R.シュトラウス 英雄の生涯、ベートーヴェン Sym3番
 オケは弦バスが左脇に来る対向配置、最初のキャンディードはTp2,Tb3,Hr5でハジけず堅実系、パンチャスによる曲目解説(日本語も堪能なのに英語)を挟んでR.シュトラウス、Tp5、Tb3の脇にユーホ、右脇のHrは9本!コンマス(Vnソロ)はこのオケ出身で現サンフランシスコ響奏者に交替、中庸で堅実な棒の下、ブラスの爆発度はそこそこ程度ながら、弦は昨年同様PMFをも上回る鳴りで全体では分厚いサウンド、終盤のHrソロを珍しくもアシと分担していたのが印象的。
 後半ベートーヴェンはまたコンマス交替しHrは6本、第2-4楽章を棒を降ろさず演奏。そしてお待ちかねアンコール、Tp5,Tb4,Hr9など全員が舞台に上がり「6週間前に集まって最初に演奏したこの曲を最後に、明日はみな永遠に離れ離れになります」との口上で恒例のエニグマ"ニムロッド"、濃密な弦、ずっしり吹き込むブラス、いつ聴いても目頭が熱くなります。

 今年になって「英雄」「英雄の生涯」のカップリングを目にするのは何と3度目、ベートーヴェンなど王道を愛する人にとっても、自分の様なゲテモノ嗜好の人にとっても、この組み合わせって不幸な気がするのですが…。

2014年8月28日木曜日

公房の三角関係 - アロッタファジャイナ 「安部公房の冒険」

 終日の小雨、気温もほぼ20±1度と低め安定、夜は観劇で新国へ、例によって奇特な方からの頂き物です。

8月28日(木) 新国立劇場 小劇場
 アロッタファジャイナ第14回公演 「安部公房の冒険」
タイトルから安部公房の作品世界を取り入れた幻想的な内容かと思いきや、妻、愛人との三角関係を軸とし公房の生涯をストレートに描いた休憩無し90分、舞台はシンプルで登場人物も狂言回しを除けばその3人のみ、主役佐野史郎の手堅さと、愛人役縄田智子の初々しさが印象的。

 安部公房について知識のある人や、舞台に造詣の深い人(本作はチェーホフ「かもめ」のオマージュとの説あり)ならばより楽しめそうな作品かも、因みに愛人とは山口果林のことで昨年出版された彼女の回想記がベースとのこと、その意味で新しい真実が入っているのかも。

2014年8月27日水曜日

初のハードボイルド?は個性的仕上がり、犬は(ほぼ)出てきません - 米澤穂信「犬はどこだ」

 おえぇ、阪神、あの展開から負けるかぁ?

 ここ数年いつもそうですが、知らない間にブエルタ始まっちゃってます。予定通りのキンターナは勿論、コンタもフルームも出ていてゾクゾクするメンバー。

 自転車といえば一昨日、実家から最寄り駅へ向かう道中のこと、昼間の雨が上がって1-2時間、雲の切れ間から星空が、ってことで傘を持たず出発、したら小松の市街地に入ったあたりで突然の驟雨!

 激しく降ったのはものの2-3分だったかもしれませんが、あっという間にずぶ濡れ鼠、服を搾ったらボタボタ落ちるレベル、しかもその状態で高速バスへ(涙)、車内冷房もあってしばらく凍えました。

 本日はちょっと前に読んだ本から、「日常の謎」的本格が主戦場だった著者が初めて私立探偵物に挑み、これまた初めて「このミス」トップ10にランクイン(2005年度第8位)した作品。

犬はどこだ 米澤穂信
 犬探し専門として地方都市で開業した探偵が人探しをする羽目になり、その背後に潜む犯罪と直面します。私立探偵小説の王道たる1人称記述に新たな趣向を加えつつ、公明正大な伏線から浮かび上がる構図と、その結末の付け方は意外そのもの、「ボトルネック」と似た意味で強く印象に残ります。

2014年8月7日木曜日

立秋に佐渡&PMFのショスタコーヴィチ5番

 今再放送中の「1リットルの涙」、その後のエリカ様のご活躍を見るにつけ、あの時の涙を返せ! と言いたくなります(笑)、
が、改めて「病気は (吸気音) 病気は (吸気音) どうして私を選んだの?」のシーンでまた泣いてしまう自分が情けないです。

 今日は立秋、いい感じに真夏日は続いてますが、これまでコガネムシばかりだった宿舎玄関前の廊下(8階)に横たわる遺骸にアブラゼミが加わり始め、改めて夏の転換点を感じさせます。

 夜は東京に出てPMF、当初予定のマゼールはご存知の通り体調不良によりキャンセル、代役は佐渡、メインはショスタコ5番、彼の振る5番は1-2度聴いているので、マゼールで聴きたかった、けれど、死んじゃうとは思いもよらず。

8月7日(木) サントリーホール
 佐渡裕&PMFオーケストラ バーンスタイン "キャンディード"序曲、チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲、ショスタコーヴィチ Sym5番
 キャンディードは最後のテンポアップと高揚感が素晴らしく、個人的には本日の白眉、続くロココ風のソリストはイケメンのセルゲイ・アントノフ、アンコールに終曲をもう1度。
 後半のショスタコはティンパニ2組(←そうだったっけ?)、ハープ2本、Tp5本にはトップ含め女性2名、Tb4本(女性1名)、HrはRAから見えず、佐渡は激しさほどほどなのは以前聴いた時と同じながら、所々に独自の表現が増えた感じ、終楽章緩徐部で弦をたっぷり鳴らし、コーダ前でスローダウンしたのが印象的、コーダは(バーンスタイン風ではなく)やや速め程度、全体的にブラスの鳴りもほどほど程度、アンコールは無し。

 アンコール無し、ってPMFでは初めて?って位珍しいのでは、と思って日記を読み返せば、2-3年前のルイージの時(マーラー1番アルプスSymチャイコ6番)、その前のMTTの時(マーラー5番)もアンコール無し、さすがはボケ老人、すっかり忘れてます。

2014年8月6日水曜日

アリスのノンシリーズ短編集その1 - 有栖川有栖「ジュリエットの悲鳴」

 連日の猛暑日!と思ったら今日は35度に0.2度届かず(涙)、とは言え昨日今日がこの夏のピークと判断し、この2日は昼休みを長めに取って壁打ち&日向ぼっこを満喫。

 ただ、今年最初のツクツクボウシの声が、うーん、本当にもう夏の折り返し点なのか(涙)、と思って調べると明日が立秋、やっぱり。

 本日は前回(か前々回)の帰省から戻る際手に取った作品から、2大シリーズキャラクターを持つ著者による、ノンシリーズ作品を集めた短編集、8つの短編と、4つのショートショートが収められてます。

ジュリエットの悲鳴 有栖川有栖
 軽いタッチの作品が多く気軽に楽しめるラインナップ、ショートショート「世紀のアリバイ」の切れ味が個人的には出色、あと「落とし穴」の正統的な倒叙味と、「登竜門が多すぎる」の東野圭吾「超読書機械殺人事件」(「超・殺人事件」所収)を思わせる自虐味(でも本作の方がずっと早い!)が印象的。

2014年8月5日火曜日

猛暑日にエッティンガー&東フィルのマーラー5番

 最高36度、今季最高値にして今年2度目の猛暑日、ただ前回は実家にいたので個人的には今年最初の猛暑日、熱気に心躍り、外に居ると生きてるって気がします。

 自室の温度も初めて32度に、実家の屋根裏部屋は梅雨半月前は34度、先日は38度で寝心地よく(38度は少し暑かったけど)、やっとその域に近づいてきました。

 夜はフェスタ・サマーミューザへ出陣、聴いたのはエッティンガー&東フィルの5番、このコンビのマーラーは1番以来久々です。

8月5日(火) ミューザ川崎
 ダン・エッティンガー&東フィル モーツァルト PC20番、マーラー Sym5番
 オケは弦バスが左奥にくる対向配置、前半のソリストは菊池洋子、マーラーの前座が彼女の弾くモーツァルト、ってパターンは3-4度目くらい(前回も5番でセゲルスタム&読響)、アンコールが無くてホッ。後半マーラーはTp4,Tb3,Hr7でHrは右奥、Tpソロは序盤手探り感あれど徐々に本調子になり途中からかなり朗々、Hrソロもまずまず、エッティンガーは随所に細部拡大型の表現が面白く、遅いテンポの第1楽章と揺れる表現の第4楽章が印象的、ただ全体ではリハ不足かオケも粗く統一感に欠ける感じ、ブラス陣ではバストロの鳴りよく、全体ではクライマックスの鳴りはぼちぼち、勿論最後は激しく強引なアッチェレで。

 弦の鳴りが悪い感じがしましたが、席位置(4階センター最前列)のせいかも、ミューザの4階は昔後方に座った時に思いのほか響きが遠くてずっと避けていたので。ただ最前列だと管楽器はバランスよく届いてました、でも弦、特に高音のハーモニックスが届かない感じ。

 明後日はPMFです!

2014年8月1日金曜日

密室度とバカ度?上昇、密室シリーズ短編集その2 - 貴志祐介「鍵のかかった部屋」

 昨夜テレ東深夜枠、復活なった麻美ゆまが闘病のことなど語っていて、手術日前後の日記とビデオには泣きました。

 あとテレ東と云えば、「美しい人に怒られたい」が何故か「吉木りさに怒られたい」にリニューアルされて復活、うーん、前の方がよかったなあ…、せめて「キャンパスナイターズに怒られたい」にして欲しかった。

 本日も先日読んだ本から、「硝子のハンマー」のコンビが活躍する短編集、「狐火の家」に続く第2作です。

鍵のかかった部屋 貴志祐介
 泥棒坊探偵と美人弁護士が挑む密室が4編、前作より更に密室に拘りつつ、バカミス系も脱力系も外さないあたりが細かいです。カーとロースンへの貴志流オマージュたる表題作が本格サイドからは最も魅力的。

 前作に続いて脱力系の1篇ではボクシングネタが更にパワーアップ! レナード、ハグラー、ハーンズ、デュラン、そしてジョー小泉まで!