2011年5月28日土曜日

ゴレンシュタイン&ロシア国立響のラフマニノフ、明瞭峻烈サウンドの衝撃

 昨夜のジロ第19ステージ、主役はまたまたコンタドール、2重の意味で凄かったです。

 今日のボケ老人: サントリー前で人と待ち合わせた時には持っていた傘、終演後ホールを出る時には失くなってました…。

 終日の雨、台風に刺激された梅雨前線、ってまだ5月なのに…、気温は終日18±2度と低め安定ながら寒い程でも無し、ほぼ丸2日間休まず冷やした左手の火傷はかなり快方へ、何と言っても両手でタイプ出来るのが楽だし、テニスも出来そう、とは言え午前のテニスは勿論中止、ゆったり朝寝し、一応冷却シートを貼っての外出。

 まず昼過ぎに学園祭に寄って後輩に差し入れし、サントリーへと出陣、聴いたのはロシア国立響、約20年振りの来日とのこと(←実際は14年振りらしいです)、残念ながら(いつでも聴けると思っていたら)スヴェトラーノフとのコンビを聴きそびれてしまったため、このオケの実演は初めて、なのでワクワク、勿論現在のシェフ、ゴレンシュタインが振る日を狙い撃ちです。

 また公演の殆どを西本女史が振るため、価格設定が西本シフト、つまりPブロックなど音が悪い(けど指揮者に近い)席が高く、2階後方など音がいい(けど指揮者から遠い)席が最安になっていて、普段座れない席で聴けるのも嬉しいところ。

5月28日(土) サントリーホール
 マルク・ゴレンシュタイン指揮ロシア国立響 グラズノフ ライモンダより、ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲1番、ラフマニノフ Sym2番
 オケのメンバーは見るからに若く、スヴェトラ時代とかなり入れ替わっていることを伺わせます。最初のグラズノフは初めて聴く曲、のっけから弦を中心としたオケの統率の取れた響きに驚愕、木管も均質な響きで溶け合ってます。また驚きは金管、他とバランスを取った音量で、全くバリ吹きしません。ゴレンシュタインは曲想により棒の有無を使い分けますが、棒を持っていても手の動きが妙に細かくせわしない印象、続くショスタコでのソロは予定のクニャーゼフから変更になった(若手っぽい)アレクサンドル・ブズロフ、終楽章前の長ーいカデンツァに凄みがあり、アンコールにはバッハのしみじみ系を。
 そして後半ラフマニノフ、とにかく驚愕は弦セクション、そんなに音量や伸びがあるタイプではないのに、奏法込みで揃っているせいなのか、あらゆるパッセージが明瞭に聴こえ、ここでこんなことやっていたのか、と驚くことしばしば、と言うか、「じゃあ、これまで自分が聴いていた弦がダンゴになったりマスクされたりしていたサウンドは何だったの?」と言いたくなる位、特に第2楽章中間の水際立った迫力は初めての体験、終楽章でも弦はクリアーそのもの、解釈としては煽ったり粘ったりはぼちぼち程度、第3楽章など緩徐部では主旋律を抑えめにして対旋律を際立たせていたのが印象的、でもClソロは吹きにくそうでした。ブラスは最後まで抑えめでバランス重視、終楽章クライマックスのファンファーレ手前で少しTbがベタ吹きした以外はロシアンブラス度ゼロ、Tpなどシャープ系の吹き方、Hrなんてノンヴィヴラートで細く優雅に吹くスタイルで正反対(全強奏ではもっと吹いてほしかったところ)。アンコールはTpが増えて4人になり、もう一人パーカッションのあたりにも入った(ハープ?)ので、「どんな凄いのをやるのか」とワクワク、ところがゴレンシュタインの「震災の被災者に捧げる」とのアナウンスの後始まったのはしみじみラフマニノフ「ヴォカリーズ」、でも確かにTp、Tbやティンパニまで加わる独特な編曲でした。

 いやあ、疑い無く今年最大の衝撃でした。メロディアのLPで聴くスヴェトラ&ソヴィエト国立響とは全く別のサウンド、スヴェトラ時代を生で聴いている知人2名も「全く別モノ」と言っていました。

 ただ同じベクトルでスケールダウンだとがっかりですが、全く違うベクトルなのでOKでしょう。スヴェトラ時代(一部で勝手に)ゴスオケと呼ばれていた頃は「世界で1番デカイ音がする」と言われていたオケが、旧レニングラードフィルやモスクワ放響と比べても音量スケールは小さくなった代わり、(個々の上手さはともかく)均質性や統制の取れ具合では過去聴いたロシアオケの中でもNo1、その味を敢えて例えるなら、オケの各パートの均質さは東欧系の老舗、ドレスデンやゲヴァントハウスを思わせ、弦のクリアーさは、シモン・ボリバル・ユースオケを思い出す、といった感じ、とにかくビックリでした。

 ジロもあと僅か、今夜が7番目にして最後の頂上ゴール、その後はモナコGP予選、そして(今度こそホントに)C.リーグ決勝、と今夜は寝られません。

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