2005年5月30日月曜日

雄大な室内楽 - ムストネン&ヘルシンキ祝祭管のシベリウス2番

 阪神、ほぼ予定通りの貯金週間です。S券を四分の一の値段(2,500円)で購入できる優待券を入手し、急遽演奏会に行ってきました。

5月30日(月) オペラシティ
 オリ・ムストネン指揮ヘルシンキ祝祭管 現代曲、ベートーヴェンPC3番、シベリウスSym2番
自作自演・弾き振りのコンチェルト・定番の交響曲と、作曲者・ピアニスト・指揮者というムストネンの3通りの姿が見られる演奏会です。ヘルシンキ祝祭管はメンバー表によると総勢60名にも満たない小さめの楽団で、暖かい音色の弦セクションと、それと融和する木管・金管セクションの柔らかい響きが印象的でした。指揮棒を使用せず、両手を滑らかに使うムストネンの指揮スタイルは、二拍・三拍を一拍で振ることが多く、その流麗な姿とは裏腹にテンポは速めで、これほど速いシベリウスの2番を聴いたのは初めてです。また、奏者へのキューも判りづらく、それでも大きな乱れも無く統一感ある演奏が進んで行くのは、オケ全体に共通したスタイルがあることを感じさせ、よく訓練された室内オケを聴いている趣です。また最後のコラールはそれほど大きな音量が出ている筈は無いのに、何故か凄く雄大な響きがしました。アンコール、超快速テンポの「ルスランとリュドミラ」も楽しく、お得感たっぷりの演奏会でした。

 帰りの高速バスの車中、最初は足元に暖房が入ってましたが、途中からそれが停止、次に上から冷房の風が吹いてくる、という奇妙な体験をしました。

2005年5月28日土曜日

祈りの音楽 - 柳澤&江東シティオケのショスタコーヴィチ5番

 昨夜、H.ヒューズ監督の青春映画を観ていたらいつの間にか意識を失っており、「ホーリーランド」、PRIDE武士道(SRS)、極真世界ウエイト制(一撃入魂)と、格闘技マニアには外せない3番組を寝ブッチしてしまい、痛恨です。本日は初夏を思わせる陽気、日中はテニスして、夕方にアマオケを聴いてきました。入場無料でプロコの7番とショスタコの5番が聴ける、ありがたい演奏会です。

5月28日(土) ティアラこうとう
 柳澤寿男指揮江東シティオーケストラ プロコフィエフSym7番、ショスタコーヴィチSym5番
まだ発展途上のオケという印象ですが、ショスタコのSym5番の第3楽章では、美しい響きの「祈りの音楽」を聴かせてくれました。またアマオケにしては珍しくHrが充実しており、パート全体の迫力・ソロの美しさ、ともに見事でした。プロコのSym7番を初めて実演で聴きましたが、思ったより地味でした。

2005年5月23日月曜日

エッシェンバッハ&フィラデルフィア管の9番

 阪神またうっかり単独首位になってしまいました。試合に即負けしたおかげ(?)で、今夜のエッシェンバッハ&フィラデルフィア管のマーラー9番に間に合います。彼特有の異常な解釈が非常に楽しみです。戻りは深夜になりますので、感想はまたその後に。
 戻りました。密度の高い演奏でした。

5月23日(月) サントリーホール
 クリストフ・エッシェンバッハ指揮フィラデルフィア管弦楽団 マーラーSym9番
このコンビ、この1週間で1,5,9番とやったせいか、埋まっているのは安い席だけで、S,A席あたりは五、六分の入り。エッシェンバッハがNDRを振った同曲のFMオンエアを聴いた時の超スローテンポが強烈な印象だったので、彼のマーラーには「異形の造型、デフォルメの美学」といった先入観を持っていましたが、いざ実演で聴くと、各フレーズに説得力があり、余り違和感の無い解釈でした。(それでも90分位掛かってます。)そう云えば前回NDRとの来日で聴いた5番も想像していたほど異様な解釈ではありませんでした。また、かなり特異に聴こえる箇所でも、実際には他の人よりスコアに忠実なだけ、ということもありました、少なくとも5番では。
 今回の9番、肝心の終楽章の終結部など、エッシェンバッハの要求する神経質なまでの解釈にオケが応え切れていない部分はありましたが、全体としては各楽章それぞれに聴き所の多い、面白い演奏でした。特に第1楽章の再現部あたり(とは言ってもどこが再現部なのか自信が有りませんが)の響きの密度と表現の振幅が凄かったです。オケは弦セクションの内声、特にヴィオラがいい存在感でした。また曲の性質上、思い切って吹きにくい金管群もスケール大きな響きを出してました。ただ、フィラデルフィア管はオーマンディ時代の印象が強烈なので(トシがばれますが)、それと比べると、弦セクション全体の音量・音色と正確さ、管楽器群の実力、いずれもかなり落ちたなあと感じます。ちょっとやり過ぎ、という解釈や、木管セクションの目立つポカなど、いろいろ難はありましたが、総合的にはこの10年で聴いた20回程度の9番の中でトップに位置する演奏でした、あくまで僕の好みではありますが。

 実は9番に関しては、実演でこれ、という演奏に出会っていません。10年以上前で印象に残っているのは、ドホナーニ&クリーヴランド管とアバド&BPOあたりでしょうか。また残念ながらバーンスタイン&イスラエルフィルの伝説の演奏は聴いてません、チャンスはあったのに(涙)。今はレヴァイン&MET又はミュンヘンフィルで聴いてみたいところ。

2005年5月19日木曜日

デプリースト&都響の2番

 交流戦サマサマで、阪神うっかり首位になってしまいました。本日は夏日のポカポカ陽気、今朝の最低気温18度は真夏並みです。都響の新しい常任指揮者、J.デプリーストの就任披露演奏会といった意味合いのコンサートに行ってきました。このコンビのマーラー「巨人」が見事な演奏だっただけに、否が応でも期待は高まります。

5月19日(木) 東京文化会館
 ジェイムズ・デプリースト指揮都響 マーラーSym2番
デプリーストの指揮は特に奇を衒うことが無いもので、一見面白みに欠けそうな気がしますが、一点一画もおろそかにせず、しっかりと音を刻んでゆくせいか、テンポやバランスをいじってマーラーの特異性を強調しなくても、自然とマーラー固有の響きがそこに生まれてくる感じです。彼の創り出す音には芯があって、何と言うか、強い求心力を感じます。特にクライマックスの強靭な響きは見事でした。ただ、一音一音しっかりと彫りこむ演奏では、オケの弱い部分もはっきり出てしまう難点があるのも事実です。また、曲が長いせいか、「巨人」の時に比べると、細部の造りこみが少し甘い部分がありました。その意味で明日はもっといい演奏になるのではないでしょうか。

 このコンビ、今日はまだ改善の余地はありましたが、かなり期待できることは確かだと思います。

2005年5月15日日曜日

曲の流行り - 新通&法政大響のラフマニノフ2番

 昨日終日テニスをやって脚の痛みが増したので、本日は休養して、アマオケを聴いてきました。

5月15日(日) 新宿文化センター
 新通英洋指揮法政大学交響楽団 エグモント、アルルの女、ラフマニノフSym2番
弦楽セクションの分厚い響きが印象的でした。ただ、金管群がややおとなしめで、ラフマニノフあたりもっとブカブカ吹いて欲しかったです。また、第3楽章の終結部がただならぬ緊張感で、マーラーの9番終楽章結尾を想起させる程だったのが強く印象に残っています。

 一昔前は滅多に聴けなかったラフマニノフのSym2番ですが、この4,5年はホントによく演奏されるようになりました。

2005年5月13日金曜日

盛り上げ上手 - 下野&読響の1番

 このところホントに寒いです。先週前半は半袖半ズボンで大丈夫、各所で冷房が入るくらいでしたが、本日はマフラーをしてる人もいて、夕方の電車には(有難い事に)暖房まで入るほどです。ほぼひと月ぶりにコンサートに行ってきました。

5月13日(金) 芸術劇場
 下野竜也指揮読売日響 モーツァルトSym29番、マーラーSym1番
前半のモーツァルトではよくコントロールされ、メリハリのある澄んだ響きが聴けましたが、マーラーでは特に叙情的なパートで指揮者の意図が演奏に十分に反映されていない、もどかしくも散漫な響きになってしまった部分が多かったです。そのせいでどんなマーラーをやりたいかが伝わってこない演奏になってしまいました。指揮棒と視線だけで初対面の奏者から自由自在に望みの音を引き出す、といったいわゆる天才系の指揮者とは対極の、職人肌を感じさせるタイプのように見えますので、リハ不足だとこうなってしまうのでしょうか。ただ、奏者に気持ちよく演奏させる、という才には長けている感じで、テンポのいい部分やクライマックスなどは、上手く盛り上がります。そのため、終楽章はまずまずの大団円でした。オケでは、分厚い響きのTbと切れ味の鋭さと柔らかさを併せ持った1stTpが見事でした。