2011年8月28日日曜日

爆演系オケのフレンニコフとシェエラザード - 森口真司&オーケストラ・ダヴァーイ

 陸上の世界選手権が開幕、女子の最も距離の長い2種目、マラソンと1万mで共にケニア勢が1,2,3位独占って凄いかも。あと走り幅跳びのロシアの新鋭クリシナが美形でした。

 思ったより晴れて気温も30度近くまで上がってなかなかのテニス日和、午前テニス、午後コンサート、夕方またテニス、の予定でしたが、明日試合なのに2本しかないラケットの1本を地元のショップに預けたまま、それを回収するため午前中の練習をキャンセル、ま、右膝が少し痛いこともその理由の一つ。

 よって午前中はゆっくり昨夜の世界選手権を録画観戦し、昼前におっとりと都心へ、聴いたのはいつも爆演を聴かせてくれるロシア系アマオケ(前回はこれ)です。

 前プロにあるフレンニコフなる作曲家、寡聞にして名前すら知らなかったのですが、ソ連時代に体制派についていたため、その作品自体は今日やや不遇をかこっているとか、しかもつい最近まで存命(2007年没)で、この3番も1973年の作、日本のオケでは初演とのこと。

8月28日(日) すみだトリフォニー
 森口真司&オーケストラ・ダヴァーイ フレンニコフ Sym3番、伊福部昭 ラウダ・コンチェルタータ、R=コルサコフ シェエラザード
 最初のフレンニコフは20分程のロマン的で聴きやすい曲、期待通りブラスが吼えてます。続く伊福部はマリンバ協奏曲の態、ソリストは団員の山本勲、長ーいカデンツァで意識を失いましたが、常動曲的に果てしなく続く終楽章クライマックスは壮絶でした。そして後半シェエラザード、レコード時代の私的ベスト盤はブラスが吼えまくり、ハープとピッツィカートが目立ちまくるロストロポーヴィチ&パリ管、ただそれを想起させる実演に出会ったことが無かったのですが、(終楽章は息切れ感あったものの)ブラスバリバリの本日の演奏は少し近いものを感じ満足、また弦もまずまず鳴ってました。アンコールは「白鳥の湖」第3幕?終曲、最後のブラス咆哮も最高でした。

 コンサート後はダッシュで錦糸町から足立方面へ向かいテニス&ホームパーティー、12時前に帰宅し、スパ・フランコルシャン(と阪神の勝利)を堪能しました。アロンソにはセーフティーカーが痛かった…。

2011年8月27日土曜日

魔女の十月十日 - 海堂尊「ジーン・ワルツ」

 今日は朝から晩までテニス、時間が取れないので記事のみにて、因みに明日は爆演系オケでシェエラザードです。

<続き>
 昨日のボケ老人:ガットが切れて張替に出したラケットの受け取りが昨夕だったのを失念、土日とも早朝から深夜まで東京に出ている予定ゆえ、週末に回収不能、でも、月曜試合なのに…。

 曇りがちながら何とか天気は持ちましたが、気温は最高26度台と寒かったです。早朝から東京に出て午後までは久我山、夕方は青山と2箇所で終日のテニス、ただお盆の前後1週間膝痛解消"太極拳ゆったり体操"をサボったツケが回ったか、右膝が少し痛いです。

 本日はお盆の帰省時に100円棚で見つけた本から、「チーム・バチスタの栄光」以降、立て続けに本を出して"医療エンターテイメント"的なジャンルを確立した感すらある著者の作品、最近映画化されたと記憶してます。

 先日ドラマ化された著者の近作「マドンナ・ヴェルデ」は本作の続編・姉妹編的作品だとか、ただ、その「マドンナ・ヴェルデ」や「アリアドネの弾丸」など、ハードカバーでしか出てない新しめの作品をドラマ化するのは勘弁して欲しいです。原作を読まないと観られない性質ゆえ、録るだけ録っても、観られるのは文庫化されて更にそれが100円の棚に並ぶ3-5年後になってしまうので。

ジーン・ワルツ 海堂尊
 今回のテーマは不妊治療と医療行政、これまでの桜宮市を離れて舞台を東京に置き、"クール・ウィッチ"と仇名される切れ者の女性産科医の秘めたる意図を軸に、その上司および閉院が決定している産科クリニックを訪れた最後の患者達を巡る人間模様を、ミステリー的要素は極少ながら、お産をクライマックスに据えてしっかり盛り上げる手腕は見事、そしていつも以上にメッセージ性が強い感があります。

 本作で印象深かった記述:
コスモスは、神のパレットだ。この世の中にあるすべての色彩は余すとことなく、コスモス畑で見つけることができる。

 こんな風に感じるコスモス畑を見てみたいです。一番近かったのは、山中湖で合宿した時に寄り道した忍野八海の辺りで見たコスモス畑かな。

 余談ですが、「十日」を出そうとして「とうか」と書き変換されず(正しくは「とおか」)、それに懲りて「尊」を出す際に自分の感覚と意図的に違えて「とおとい」と書いてまた失敗(こっちは「とうとい」)、日本語の正しい読み方、分かってないようです(涙)。

2011年8月25日木曜日

時の狭間に落ち込んで - 恋はデジャ・ブ <'93>

 停滞前線が北上し夏が戻ってきた、と思ったのも束の間、台風が2つも3つも接近しているせいか、雨がちで不安定な天気、気温も30度に届かず(涙)、とは言えムシムシした空気感は秋雨より梅雨に近いので少し安心。

 発症してから10日以上経ち、やっと右前腕(下腕)部に出来たかぶれが乾き、液ダレしなくなりました。お盆の頃は服や布団を散々汚しましたっけ。

 本日はお盆の帰省時に実家で観た映画から、折角BSが観られる環境だったのに観たい作品が放送されず、1度観た作品を1本観ただけでした。

 コメディー中心のハロルド・ライミス監督・脚本、そして主演のビル・マレー、アンディ・マクダウェルにも惹かれず、初見の時は期待値ゼロ、なのに拾いもの的な良さがあったことを覚えており、字幕版は初めてかも、とまた観た次第。

 同じアイディアは古くからあると思いますが、ケン・グリムウッドの名作「リプレイ」<'87>によって世間に広まったとされる時間ループもの、今やありふれた設定かもしれませんが、当時は斬新だったのでは。

 西澤保彦の傑作「七回死んだ男」は「リプレイ」では無くて、この映画に想を得たとのことです。

恋はデジャ・ブ <'93 米>
 お天気キャスターが訪れた取材先で同じ1日を何度も何度も繰り返す羽目に陥るロマンティックコメディー、鼻持ちならない主人公が変化してゆく過程と、この種のプロットでどうオチを付けるかがポイント、オチは物足りなかったですが、主人公の苦悩の過程は一種感動的でした。同じタイムトリップものの佳作「ある日どこかで」<'80>でフィーチャーされたラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」を使っているのが粋です。

 例によってチョイ役で顔を出す監督のライミス、ふとクレジットを見ると"Ramis"つまり発音的にはレイミスであることを知りました(それともオーストラリア人?)。そう言えば主演のMurrayも以前書いた様にテニスのアンディ・マレーと同じく発音は「マリー」、しかも昔はマレー表記だったのに、今はマーレイ表記が主になっちゃってます。

 主演は最初トム・ハンクスを予定していたのに、"too nice"ってことでやめたらしいです(笑)。

 今夜は早く帰って阪神の応援です!

2011年8月24日水曜日

泡妻式ロンド、フーガ、或いはカノン - 泡坂妻夫「死者の輪舞」


 むむぅ、拙攻による負けはいつものことだからまあいいとして、ブラゼル離脱は痛いかも。

 そこそこ晴れて、青空と雲の感じも夏っぽさが少し戻り、気温も最高32度台と実に6日振りの真夏日、何より夜になっても残るムッとした熱気が夏の復活を感じさせます。

 夏の後半戦開始を告げるツクツクボウシの声を、地元では今季初めて耳にしました。

 本日も昨日に続き、帰省時に実家の本棚で見つけた泡坂妻夫作品から、「猫女」と同じ頃、中期?の長編です。

死者の輪舞 泡坂妻夫
 次々と起きる一見無関係な殺人、その謎に新人とベテランの刑事コンビが挑みます。ミッシングリンクものとして秀逸なだけでなく、全体の構図が明らかになった終盤になっても予断を許さない展開はさすが、伏線も大胆、個性的な登場人物の多い泡妻作品の中でも、海方刑事の濃いキャラは特筆もの、そして著者の某初期長編を読んでいる人向けのサービスまであり。

 この海方のキャラに愛着を覚えたのか、はたまた読者に好評だったのか、5年後に「毒薬の輪舞」で再登場させます、これも買った記憶があるような、気が、するんですが、探しても、見当たらない…。

2011年8月12日金曜日

猛暑日連続4日目のマーラー5番 - 現田茂夫&全日本医科学生オーケストラ

 あ、また完封負け…、今季15度目…。

 素敵なニュース:米独立リーグ、吉田えりが初勝利、女子選手で史上2人目
ずっと頑張ってるんですね。

 今日も晴れ、昨日同様一応は夏季休暇中なので、まず午前中は東京に出てテニス、余り暑くない気はしましたが、それでも都心は35度超、地元は少し35度には届かなかった模様ですが、おまけして4日連続しての猛暑日、ってことにしましょう。

 午後は暇だったので神田・お茶の水に出て古本屋巡り、その間昼飯代りに昨日で味をしめたシャビ乳の2連発、神田駿河台で見つけたコンビニが3軒連続ファミマだったのが謎。

 ノートPCで仕事でも、と殊勝な気を起こして無線LANに入るマックに100円で居座るも、冷房にお腹をやられて1時間でダウン、早めに夕方公演のあるみなとみらいへ移動することに。

 目的地のみなとみらいホールの手前、クイーンズスクエアのイベント広場からは記憶の底に眠っていた懐かしい歌声が、何と池田綾子さんがゲストで歌ってます。と言ってもちょっと昔、好きでよく歌っていた「愛なんていらねえよ、夏」の主題歌「Life」1曲のみしか知らないんですが、その透き通った歌声は間違えようがありません。

 しかもその前の時間帯には何とスガシカオまで!もうちょっと早く現地入りしとけば良かったです。

 そのイベント終了後、まだ1時間ほどあったので、屋外に座るところを見つけ、近くでやっている大道芸人の声をBGMに、ノートPCと共に小1時間暑さを満喫。

 その後聴いたのは全国から医科大生が集まり、1週間合宿してその打ち上げとして行う公演、聴くのは今回が初めて、お目当てマーラー5番以外に、前プロも面白そう。

 パンフを見ると例年豪華な講師陣と指揮者を招いている模様、さすが医者の卵達です。

8月12日(金) みなとみらいホール
 現田茂夫&全日本医科学生オーケストラ バーンスタイン キャンディード序曲、ブリテン 青少年のための管弦楽入門、マーラー Sym5番
 最初のバーンスタインから舞台からあふれそうな大人数、Tbなど6人も!それもその筈、パンフを見れば管は殆どのパートが10名以上!案の定、1曲終わると管は全取っ替えの趣、と言うか弦までかなり入れ替わってます!次のブリテンは解説付バージョン、しかも女医さん(か看護婦さん)に扮して登場したナレーターは何とトレーナーの1人!某都内メジャーオケのCl奏者にこんなことをさせるとは…。
 後半のマーラー、Tpソロ(女性)、Hrソロ共に大人しめでやや不安定、オケ全体もかなり危なっかしく、そのためか現田氏の指揮もシンプル&ストレート、それでも第4楽章再帰部では静かな抒情を引き出していました。倍管並みの本数の割には迫力がいま一つだったブラスも終楽章クライマックスではしっかり鳴って、終わりよければ、って感じの大団円。またまた人が大幅に入れ替わってのアンコールはローエングリン第3幕前奏曲、本日一番弦が鳴ってた気がしました。

2011年8月9日火曜日

昭和平成女三代記+α - 桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」

昨日は立秋、つまりもう暦では今日から残暑、なのに本格的に夏が戻ってきました。何故か例年より立ち上がりの遅かった南茨城のサルスベリも、ようやく色んな所で濃いピンクの花を見せています。

 お昼前後はまずまず晴れて午後にはきっかり35度に到達、ひと月振りにして今年2度目の猛暑日、ただそれを記録したのが3時半前後だったせいか、お昼休みに壁打ちした時の暑さは昨日と同じ程度でした。

 本日は先日読んだ本から、2007年度このミス第2位に輝く作品にして、ライトノベル出身の著者が一般的に認知されるきっかけとなった作品でもあります。

赤朽葉家の伝説 桜庭一樹
 山陰で製鉄業を司る名家を舞台に戦後から平成までの現代史を兼ねて綴られる女系三代記、過去作品(「少女には向かない職業」「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」)にはあったミステリーへのオマージュ的香りのしない第1、2部は、年代記物が苦手なこともあって「小説としてはいいのかもしれないけど…」とやや不満でしたが、第3部に入っていきなりミステリーテイスト全開、それまでの(強いて挙げれば、って程度の)謎、"飛行人間"に殺人の謎も加わり、しかものうのうとミスディレクションまで(まんまと引っかかりました!)、ただミステリーマニアには嬉しいこの第3部、ブンガク的には評価を落とす部分かも。また年代記物は著名先行作が多いだけに、当初企図された如く、小説調→マンガ調→ライノベ調、と文体を明瞭に変えた方がオリジナリティがあって良かった気がします。

 裏日本に住み、かつそれ以外の土地にも少なからず滞在して初めて書けるであろう、裏日本の気候描写が印象的でした。

2011年8月3日水曜日

ルイージ&PMFのマーラー1番

ふっ、ふっ、ふっ、ふ、5割復帰!

 今夜はこれからルイージ&PMFのオールマーラープロ、例によって帰りが遅くなるので記事のみ作成、続きはまた明日。

<続き>
 ここ数日より晴れ間も増え、気温も8日振りにギリギリ30度に到達、入道雲も見かけるようになり、陽射しにも少し力強さが戻りました。が、まだ暑いというレベルには程遠く、涼しくない、という程度。

 都心の百日紅に遅れることひと月近く、やっと構内のサルスベリが花を付け始めました。

 夕方東京に向かい赤坂で地上に出ると、夕立が降った気配、コンサートの連れによると浜松町でシャレにならないゲリラ豪雨に遭ったとか。

 聴いたのは世界中から優秀なユースを集めたPMFオケ、震災、と言うか原発の影響で欧米からの参加者が少ないかと懸念してましたが、見たところ大丈夫そう。

 また指揮するルイージのマーラーは過去2回、ドレスデンとの2番、そして今回の1番はウィーン響と聴いてます。

8月3日(水) サントリーホール
 ファビオ・ルイージ指揮PMFオーケストラ マーラー リュッケルトの詩による歌曲、亡き子をしのぶ歌、Sym1番
 まず少し驚いたのは最後列の金管の配置、普通と逆で右からHr、Tp、Tb、Tubaと並んです。前半は「リュッケルト」「亡き子」から9曲たっぷり小1時間、ソリストはトマス・ハンプソン、「真夜中にて」のブラスが見事(特にHr)、「私はこの世に忘れられ」での弦も情感豊かでした。後半の1番、ルイージは緩急強めながら、アクはほどほど程度、ただ第2楽章で中間部をテンポ揺れ揺れアク強めにやった後、再帰部では冒頭より明らかにテンポを速く演奏したのと、終楽章最初の緩徐部を情感たっぷりに聴かせたのが印象的。オケでは激ウマ強烈のトップを筆頭に8本のHrが豪快、Tpトップ(女性)も美音ながら、アシ無しなのでラストはキビしそう、ただTbトップ(女性)と共に早業ミュート着脱は見事にこなしてました。全体としては歌曲に比べてさらってない感があり、弦の鳴りも例年より悪い気はしましたが、最後はしっかり盛り上がりました。ラストのHrは補助のTp、Tbと共に起立せず、これはウィーン響の時もそうでした。アンコールは無し。

 Tp5名中トップを含め女性が4名! そう言えばこのPMFオケの一昨年公演はMTTとの5番で、女性のソロTpが見事でした。

 終演後、ホール前広場に出ていた臨時屋台村で、キャベツたっぷり広島風お好み焼きを楽しみました。