2011年11月29日火曜日

ミチオ流コン・ゲーム - 道尾秀介「カラスの親指」

 昨夜のコマ大は久々に歯応えのある問題(しかも未解決問題!)で面白かったです。

 薄曇、朝の7度台、日中の17度台はどちらも高め、昨日に続き背広で横浜通いです。朝の測定ではリバウンド無く風邪ダイエット2kg分を維持、ってことで今日も昼飯は同じパターン、美味いとんこつラーメンを連日食えて幸せです。

 本日はこの2日間の往復で読んだ本から、「向日葵の咲かない夏」に衝撃を受けて昨年は道尾作品を一杯読みましたが、その後未読の文庫をなかなか古本で見つけられず、これが今年最初の道尾作品となった次第。

カラスの親指 道尾秀介
 過去に闇を持つ詐欺師がいくつかの出会いを機に、これまでの自分を清算する大勝負に打って出ます。そもそもコン・ゲーム小説なので当然大小のサプライズがあり、かつ楽しく綺麗にまとまっているので、これまでの著者作品ではミステリーマニア以外へのウケは1番よさそうです。

 著者の作に馴染んでいると自然と身構えて読む(ディーヴァーみたい)ためサプライズ度は低めですが、一般的な読者の初道尾作品としては向いている気がします。

2011年11月25日金曜日

作風転換?第1作は日本版JFK - 伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

 風邪は少し快方になれど食欲はゼロ、犬猫療法的には1日寝ていたいところですが、午後は横浜で講義があるのでそうもゆかず、朝は普段通りにまず職場へ行き、昨日届いた実家のミカンを朝飯代わり。

 朝は零度台とやや冷え込みつつもよく晴れた日中は15度超と高め、職場から出る際チェックした構内の紫フヨウ、先週から花が見えなくなっていたのに半開きの蕾が!衣替えしてしまった自分より逞しいです。

 ややグロッギー状態で乗った上りのつくばエクスプレス、我ながら現金な物でスレンダーな女神が降臨して一気に元気が戻りました。

 本日は横浜への往き帰りで読了した本から、先日に続き伊坂本、一般読者にもブレイクして(2008年度「このミス」第1位、そしてすぐ映画化)転機となった作品と言えるかも。

ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎
 J.F.ケネディ事件を下敷きに、日本(仙台)で起きた首相暗殺事件の濡れ衣を着せられた主人公の逃亡劇を伊坂調で描きます。巻末解説(新潮社文庫版)にある様に、これまでの特徴であるミステリー的仕掛けや伏線の回収は意図して少なめにして、反面胸が熱くなるシーンは増やして、より一般的なエンターテイメントに仕上がっています。個人的には以前の作風の方が好きですが。

 自分は残念ながら違うのですが、ビートルズにより詳しいと、感動がより一層高まりそう。あとこれまでの作品は映像にしても原作に及ばなさそうでしたが、本作は映像化とも相性が良さそう、そのうち映画も観てみます。

2011年11月23日水曜日

入道雲とラフマニノフ - 内藤佳有&東京農大農友会管

 午前テニス、午後アマオケと典型的休日パターン、の予定でしたが朝6時に起きると外は曇り、喉が激イタ、鼻は呼吸出来ない程詰まっておりテニスをキャンセルして寝直すことに。

 以前なら「風邪はテニスを休む理由にならない」とか「テニスした方が風邪は早く治る」とうそぶいていただけに、老後になって急に弱気になった自分が情けない限り。

 眩しい陽光で次に目覚めたのは8時、コンサートだけは、と風呂に入って着替えた所で力尽き、みたび床に。

 「いいとも」が始まったTVの音で目覚めたのが正午時過ぎ、気合いを入れて外出、意外と気温は高めで15度超、何より青空に入道雲まであったのがびっくりでした。

 新宿に出て聴いたのは東京農大のオケ、帰り道にラーメンを食べるほど元気を回復した気がしていました、この日は。

11月23日(水・祝) 新宿文化センター
 内藤佳有&東京農大農友会管 サン=サーンス 死の舞踏、R=コルサコフ スペイン奇想曲、ラフマニノフ Sym2番
 最初のサン=サーンスはマーラー4番第2楽章と同様調弦を替えたVnを2台使い分けるコンミスのソロが出色、続くR=コルサコフはブラス大人しめながら木管陣がまずまず、後半のラフマニノフ、気が入った時のシューッという息音が客席後方まで聞こえる氏の情熱系の棒の下、爆発度低めながらまとまった演奏を聴かせてくれました。アンコールもラフマニノフ、ヴォカリーズをしみじみと。

 この指揮の内藤佳有(Karl!)氏、なかなかケレン味たっぷりの人で、2番の第3楽章をマーラー9番の如く終えて10秒、そしてヴォカリーズでは15秒、音が消えてからも黙祷を捧げてました。

2011年11月20日日曜日

P.ヤルヴィ&パリ管のロングトーン幻想

前日の湿気むんむんだった朝は最低13度台と10月上旬並み、日中もそのままの湿度でほぼ曇りなのに20度を突破して春の陽気、朝は埼玉で試合、午後は横浜でコンサート、夜は新宿で宴会、と忙しい一日。

 雨は上がってだいぶ経つのに湿度でコートが乾かず試合開始が1時間遅れ、午後のコンサートに間に合うか気もそぞろ、相手は学生なのに攻めてこないタイプのため時短を兼ねてネットに出ては抜かれて予選1回戦没、でもコンサートにはギリギリ間に合いました。

 午後聴いたのはパリ管、何故かこれまで縁が無く、初体験な気がします(けれどボケ老人ゆえ忘れてるだけかも)。定価が最安9000円と基準を遥か凌駕していたためほぼ諦めつつも、地道に上限6000円で入札を繰り返していたら直前で無競争GET(でも同時期の出品では5000円で無競争落札ってのもありました)。同じ幻想メインでもサントリー公演と比べ前プロが協奏曲じゃない分こっちの方が個人的に嬉しく、逆に世間的にはニーズが落ちる様です。

11月20日(日) みなとみらいホール
 パーヴォ・ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団 ビゼー 交響曲、 ドビュッシー Clと管弦楽のための狂詩曲第1番、ベルリオーズ 幻想Sym
 最初のビゼーは繰り返しが多く自分にはやや苦痛の35分間、終楽章の高速テンポが印象的でした(が曲想からすると誰でもやりそう)。次は牧神っぽい曲想の如何にもドビュッシーっぽい10分程の曲、こっちは初めてでも楽しめました。Clソロは首席奏者のパスカル・モラゲス、パリ管は木管が美しく、弦は音量はぼちぼち程度ながら低弦は太くVnがチャーミング。
 後半はお目当て幻想、ヤルヴィは滑らかな棒でテンポをよく揺らすのと、弱音を更に弱くという傾向が特徴的、遅いテンポで表情たっぷりの第2楽章ワルツ(コルネット無し)と第3楽章中間部での急加速と激しい表現が印象的。第3-5楽章をほぼ続けて演奏し、第3楽章冒頭の草笛はアングレが舞台左袖、Obは舞台裏、終楽章の鐘も舞台裏、あと第3楽章の雷ティンパニが4台を4人で叩く贅沢な布陣でした。第4楽章はブラス大人しめで弦が暴れる表現、冒頭遅めのテンポで不気味さを強調した終楽章でもブラスは抑えめ、その功徳か猛加速して煽った後のラスト1音は(抑えて吹いているブラスの息が続くので)これまで聴いた中で最長のロングトーン。アンコールは2曲、まずビゼーの「子供の遊び」"舞踏会(ギャロップ)"?を楽しげに、続いてパパもお得意のシベリウス「悲しきワルツ」を緩急と強弱たっぷりで(特に弱音は聴こえない程)、この曲で音が消えた後10秒も棒をおろさない人を初めて見ました。

 ブラスが爆発しないのは個人的に物足りませんが、オケの音色やアンコールを含めたトータルでほぼ満足、アンコールを2曲やってもまだ次の楽譜をさっさと出す団員がいて「こいつらプロだ」と思いました。

<追記>
 日記を読み返したらシンシナティ響の時もアンコールに悲しきワルツをやってました。親子で18番なんですね。あと「弱音はより弱く、速い部分はより速く」はパーヴォの一般的傾向のよう。

2011年11月18日金曜日

匠の技いろいろ - 泡坂妻夫「煙の殺意」

 終日の曇り、朝は冷え込まず最低7度と高め、日中は予報に反し上がらず最高13度と低め、マフラーをして出ても荷物にならない気候でした。生徒の都合でイレギュラーに横浜へ講義に、昼飯は大分ラーメンです。

 本日はちょっと前に読了した本から、名匠泡坂妻夫の比較的初期作を集めた短編集、今年連綿と続けてきた1年遅れの泡妻追悼企画もこれで一区切りです。

煙の殺意 泡坂妻夫
 大抵の作品が再読なせいか、名品の誉れ高い「椛山訪雪図」(やや作り過ぎの感)「煙の殺意」(もっと説得力のあるプレゼンが出来そう)「紳士の園」あたりよりも、やや泡妻らしくない倒叙物「歯と胴」(バリンジャーへのオマージュ?)と泡妻節全開の「開橋式次第」のファイダニットと手掛かりが印象に残りました。

 明日から2日間職場が停電になるので、その対処が意外と面倒です。

2011年11月15日火曜日

骨太苛烈な麻薬戦争30年史 - ドン・ウィンズロウ「犬の力」

朝冷え込まなかった代わり、そこそこ晴れた日中は予報通り気温上がらず15度をわずかに超えた程度、ただこれがほぼ平年値、でもこの秋は高めの日が多いせいかかなり寒く感じます。

 昨日職場に届いた実家のミカン、結局昨日1日で13個食べました。周りのみんなも食べてくれて、今日は2個食べただけでダンボール1箱尽きてしまいました。

 本日は先日読了した本から、このミス1位作品繋がりの3作目、「ミレニアム」3部作を抑えて2009年度の第1位に輝いた作品です。

 著者のニール・ケアリーシリーズを読破してから取り掛かろう、と思ってたんですが、第2作「仏陀の鏡への道」にそこそこ時間が掛かったので、全5作読破は遠い、と判断して本作を先に手にとることに。

犬の力 ドン・ウィンズロウ
 アメリカから中南米を又にかけて起きる麻薬戦争を30年に及ぶスパンで、多視点の群像劇スタイルを用い疾走感ある乾いた筆致で描きます。北中米現代史を踏まえて進む物語はそれをよく識る人には興味倍増と推測され(自分には不明…)、骨太な年代記風展開にロマンスや終幕のサスペンスも有っててんこ盛り、時に凄惨な内容は映画「ゴッドファーザー」を子供の頃初めて観た時の感覚を思い出しました。

 ニール・ケアリーシリーズとかなり違う肌合いに驚きました。あとマリファナとヘロインとコカインの区別が全く付いていない自分には、よく判らない部分も(笑)。

 だいぶ離れてきた木星とお月さんの間に冬の星座が綺麗に見えてました。今夜は久々に冷え込みそうです。

2011年11月14日月曜日

意外と情熱系、ジンマン&トーンハレのマーラー5番

 昨夜はTVで日本シリーズ第2戦を堪能、ファルケンボーグって初めて見ましたが、凄い球投げますね。

 午前中職場に実家の父から穫れたてのミカンが到着、一気に6個食べて指は今年もウンチ色。

 今夜はジンマン&トーンハレのマーラー5番、トーンハレ管は初めて聴くんですが、このコンビによる一連のマーラー録音を聴く限り弦の音がチャーミングなので期待してます。帰りが遅くなるので例によって記事のみ作成。

<続き>
 いやあ、ジンマンのマーラーってディスクでは透明感はあるけど淡白、という印象でしたが、実演で聴くと意外と情熱的で驚きました。

 この日も最低10度弱、最高20度弱と前日同様の小春日和、ただ午後から少し雲行きが怪しくなり夜にひと雨、日曜一日節制したのに土曜増加分の1kgが全く減らずがっくり。

 夜に聴いたトーンハレ管、昔からポツポツ来日している割にはお目に掛かるチャンス無く、最近全集が完成したジンマンとのマーラーでは潤いある弦の音色が魅力的で、前回このコンビが来日した時は聴こう、と思っていたんですが、招聘元の都合か常にヨーヨー・マとの抱き合わせ公演、そのためか最安8000円と自分がこのコンビに出せる基準価格より高くて諦めました。

 それから5年経って今回の来日もまた抱き合わせパターン、ただ最安8000円も同じです。この5年で来日オケの最安席は軒並み倍近くに跳ね上がっており、5000円以内で聴けるオケが少なめ、そして今や8000円は普通の価格(涙)、年に1公演くらい清水の舞台から跳ぶか、と一念発起しての参戦となりました。

11月14日(月) サントリーホール
 デイヴィッド・ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管 ショスタコーヴィチ チェロ協1番、マーラー Sym5番
 前半ショスタコはノンヴィヴラートのHrソロが印象的、ソリストは5分近いカデンツァが迫力だったヨーヨー・マ、アンコールに定番"鳥の歌"をしみじみと。休憩時間に2ndVnの後ろのプルトの若い女性が練習していて、その位置に少し驚き、ショスタコでは左から音域順に並ぶ配置だったのに、後半は2ndVnだけ対向配置となる右側に移動しています。
 その後半の5番、自由に始めていいタイミングでスタートしたソロTpは柔らかな音色で素晴らしく、動きがシャープで明快な棒のジンマンは続く最初の弦の主題から遅めのテンポで各フレーズを情感たっぷりに歌わせます、この後もマーラーっぽいアクは強調しない代わり、弦中心に全てのフレーズをとにかく歌う解釈は想像より主情的で驚き。新版らしく指揮者脇に出て演奏したHrソロはやはりノンヴィヴラートで色気が無い代わり正確、木管はニュートラルな音色、弦はディスクから期待した艶は感じませんでしたが混濁の無いクリヤーな音色で、何より長身のコンマスから低弦まで、下のプルトも一所懸命弾いていてかなりの音量、棒を置いた指揮でほどほどの情感だった第4楽章の音の分厚さと、終楽章で第4楽章動機が回帰する部分の穏やかな表情が印象的、安定感あるブラスはジンマンの音作りが弦中心なためか常にそれを消さない程度の吹きっぷりでしたが、それでもクライマックスは豪奢なサウンド、見事な完成度でした。

 ジンマンのマーラーに対する期待値が低かったせいもあるかもしれませんが、この秋1番のコンサートだった気がします。もう1回来日して非抱き合わせ公演で3番か9番あたり聴かせて欲しいものです。

 面白かったのは直径1.5m位ある巨大なドラ、奏者は常にドラを背にして叩き、音を止める際は背中とお尻、両手をフルに使っていました(笑)。

2011年11月12日土曜日

シナイスキー&N響の10番、大地の歌

 朝の最低は12度弱と昨日の最高気温並み、まずまず晴れた日中は20度弱と高め(都心は20度超)、朝は東京に出て教え子の応援&テニス、昨日は半袖半ズボンで凍えたのに懲りて上着を羽織り小さなマフラーまで、なのに外出10分でどちらも不要荷物に、相も変わらぬ"あつなま"パターン。

 久我山での応援、品川でのテニスをそれぞれ1時間で切り上げて渋谷へ、鬼門のNHKホールです。年末のN響は取って付けた様にマーラーイヤー帳尻合わせのマーラープロが並んでますが、今月は余り興味の無い4番に全く興味の無い「大地の歌」、で大の苦手のNHKホールってことで完全スルーの予定でした。

 そもそも「大地の歌」は歌曲なのでそれがメインとなるコンサートに行くことは無く、よって実演経験ゼロ。ところが奇特な知人が「それはよろしくない」とご馳走してくれることになり参戦となった次第、おまけに開演前に二郎インスパイア系ラーメンまでご馳走になってしまいました。

 今月のN響はコウトがキャンセル、その代役のメンツがパパ・ヤルヴィ、メルクル、シナイスキーってのが凄い。で今日はシナイスキー、実演は初めてですし、ディスクもショスタコのイメージしかありません。

11月12日(土) NHKホール
 ワシリー・シナイスキー指揮N響 マーラー Sym10番第1楽章、大地の歌
シナイスキーは棒を使わないスタイル、10番冒頭のVlaをかなり勿体付けてやっており、「これはねちっこくなるか」と期待しましたがその後はあっさり系、阿鼻叫喚のクライマックスも大人しめ(Tpのハイトーンは柔らかな音色ながら見事でした)、終わり方もあっさりでした。後半は「大地」初体験、1、3曲めと終曲くらいしか耳に馴染み無く、しかも終曲は生で聴くと思ったよりしつこくて長かったです。第1曲が5本のHrを吼えさせたり最後の1音のドスが効いていたりと豪快な解釈に感じました。

 因みに昨日書いた12月の8番は確かに現地でもほぼ売り切れてました。

 終演後の夕方はテミルカーノフ&旧レニングラードフィルのラフマニノフ2番、マゼール&東響「巨人」、法政大オケショスタコ5番、品川区民管ショスタコ10番のどれかに行こう、と思っており、熟慮、じゃなくて浅慮の末、少なくともテニス仲間2人に会えるテミルカーノフに決定、チケット入手のアテも無いのに文京シビックへ。

 予想通り当日売りは高い席のみ、「当日券売り場に並ぶふりをしてチケットが余っている人を誘い込む作戦」をやろうとした矢先、目の前でまさにそれをやられてS席が1枚無料で流れて激萎え、素直に「チケット求む」と書いて立っていれば手に入るんでしょうがその根性も無し。予定通りテニス仲間2名に挨拶出来、更に予定外にクラヲタ仲間1名にも会えたので、それで満足して帰ることにしました。

 明日はアマオケでシベリウスです!

2011年11月11日金曜日

ボージチ&都響の家庭Sym

 終日の雨、特に午後は久々の本格的な雨、気温も低めで日中も10-11度台と寒々、ただ夜になってから12度を超えて上昇中です。

 雨の中、構内の紫フヨウとサルスベリはまだ咲き続けています。

 夕方は東京に出てコンサート、電車の座席に暖房が入っていて嬉しい限り、メインが好きな曲No.1、2を争う家庭Symだけに未知の指揮者でもまず参戦です。

11月11日(金) 東京文化会館
 ウォルフガング・ボージチ指揮都響 モーツァルト PC23番、R.シュトラウス 家庭Sym
前半のソリスト、フレディ・ケンプは拍手に応え「ショパンのエチュード"別れの曲"」と日本語で言ってのアンコール、後半お目当てR.シュトラウス、Hrを9本揃えつつもSax群は省略らしく残念、学者っぽい風貌のボージチはオーソドックスで滑らかな指揮ぶりで、頻繁にタメを作りつつも流れのよい音楽作り、オケでは弦がキレと艶があって出色、ブラスが全開にならないのがやや不満ながら破綻無く、一番盛り上がる部分でティンパニが変でしたが、弦管トータルでなかなかの音響、大人の演奏、って印象でした。ただ、途中カットがあったように感じたのは気のせいでしょうか?

 明日はN響のマーラープロ、しかし苦手なNHKホールです。ところで来月初頭のデュトワ&N響の8番もやはりNHKホールゆえ参戦を迷ってますが、数日前はチケットぴあなどで全席ガラガラだったのに今は全席売り切れ、ってなってます、発売直後ならまだしも、発売開始から少し経ってるのに、ここ数日で何があったんでしょう?ちょっと不思議…。

2011年11月2日水曜日

ソ連恐怖政治下のネオハードボイルド - トム・ロブ・スミス「チャイルド44」

 朝は6度台と低め、日中は22度弱と高め、構内のサルスベリとムクゲはまだしぶとく頑張って花を付けてます。

 午前中は試合、1回戦で苦手サウスポーにあっさり敗退し、本日のお小遣いは1700円、お昼過ぎには職場復帰し、一昨日届いた実家の柿が昼飯代わり、でも残念ながら少しやわらかくなっちゃってます。

 本日は先日読了した本から、その前に読んだ「クライム・マシン」と"このミス1位"つながりで手に取ったもの、筆者の処女作にして2008年度のこのミス第1位作品です。

チャイルド44 トム・ロブ・スミス
 スターリン恐怖政治下のソ連を舞台に、主人公の捜査官が体制に揉まれながら異常な殺人事件に挑みます。実際の事件を下敷きにしつつ起承転結を整えたプロットはなかなかですが、一番印象に残ったのは事件よりも当時のソ連の社会情勢の厳しさでした(ショスタコーヴィチ!)。その意味"ロシアで発禁"というのもあながち嘘ではないのかも。タイトルの意味が判る部分ではゾクッとしました。

2011年11月1日火曜日

テミルカーノフのハルサイ

 朝は平年並みで10度割れ、よく晴れた日中は20度を超えてやや高め、本日からもう11月、午後横浜国大で講義した帰りに寄った横浜駅前ブックオフでは、何ともうクリスマスソングがかかってました。

 ブックオフの後はやはり横浜駅近くの(学生が「世界で一番おいしい料理」と評する)大分ラーメンを経由してサントリーへ、テミルカーノフ&旧レニングラードフィルの第2夜、メインのハルサイをこのコンビで聴くのは2度目です。

11月1日(火) サントリーホール
 ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルク・フィル ロッシーニ セヴィリヤの理髪師、メンデルスゾーン Vn協奏曲、ストラヴィンスキー 春の祭典
 最初のロッシーニは編成が小さく自分には詰まらないんですが連れは一言「上手い!」、続くメンコンのソリストは前回来日でもタッグを組んだ庄司紗矢香、アンコールにはバッハのしみじみ系。そして後半のハルサイ、Tp(たぶんピッコロ使用)は今日もバッチリ、Tbは今日も大人しめ、8本並んだHr(うち数本はワーグナーチューバ持ち替え)が壮観、テミルカーノフは第1部と第2部を続けて演奏、曲が曲だけに珍しく拍をしっかり振ってます、遅めのテンポで野性味薄く、旋律を歌わせる音作りでした。アンコールはお得意のエニグマ"ニムロッド"、いつ聴いても劇的にして壮大です。

 やはりこのオケ、細かいアンサンブルの揃いは気にせず、地力だけでガンガン来る魅力があります。このコンビで聴いたことのないラフマニノフSym2番のある文京公演もこれから頑張って最安席を入手したいところ。