2007年5月31日木曜日

遅咲きの葉桜 - 歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

 久し振りに勝った気がします、阪神。ウィリアムズまで離脱した今は、落ちない程度に耐える時期かも。

 朝には雨もあがって試合、初戦の相手が現れず次のラウンドへ。ただ大きめの大会ゆえ予選会場では自分が一番下のランキング、よって次は格上の相手に瞬殺、故障から復帰して計3戦、取ったゲームはたったの1コ。まあ、これが今の状態でしょう。

 途中雨が降ったりもしたため、待ち時間は5時間、そして試合は小1時間。まあ、本が1冊読めました。著者の最高作との誉れ高く、2003年のベストミステリーの呼び声も高い本作、期待通り文庫化なったので即購入しました。

葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午
 探偵の心得のある主人公が知人の頼みで霊感商法の調査に乗り出すメインプロットに、過去のエピソードや他の視点も交錯します。一筋縄では行かない筈、と警戒しつつ読んだので気になる点は多々ありつつも、出先ゆえ確認も出来ず読み進め、見事にヤられました。素晴らしい仕掛けです。自分の迂闊さと著者のあざとさを確認するためにもう一度読み返したくなる作品。ただマニアからの支持は納得ですが、一般向け作品込みでその年のベストミステリーかというと疑問な気はします。とにかくタイトルが秀逸。

 本格系の作家は初期作が華々しくても、その後先細りになることが多いのですが、歌野氏はパッとしなかった初期に比べると、随分後になって開花した感があります。

2007年5月7日月曜日

チョン&フランス国立放送フィル、熱狂の幻想

 風邪からはゆっくりと快復、咳のし過ぎで腹筋(横隔膜?)が痛いのと、鼻のかみ過ぎで鼻血がちなのを除けばまずまずの体調。

 夏日にはならないまでも平年よりやや暖かめの穏やかな一日。今日と明日はチョン&フランス国立放送フィルの東京公演、数年前来日時のプロコ「ロミジュリ」の激しい劇的表現が強く印象に残っているだけに聴きたいところですが、その時に比べチケットはほぼ倍額、このコンビで最安9,000円は無いでしょう、普通。

 ところが今朝、ネット掲示板に今夜のチケットが半額で出ているのを発見、運良くGETしていざ出陣。その前に家に寄り、先週CS-PCMで放送の同コンビによる幻想のライヴを4、5楽章だけつまみ聴き。最後の一音以外ブラスは意外と抑え目、そして弦がかなりデカイ音、まあ、後者は録音のバランスでしょう。あと、チョンはアンコールが凄い、と言う印象もあるので楽しみ。

5月7日(月) オペラシティ
 チョン・ミュンフン指揮フランス国立放送フィル ラヴェル マ・メール・ロワ、ベルリオーズ 幻想Sym
マ・メール・ロワ全曲はプロオケでは初めて、よってはっきりとは言えませんが、たぶん誰がやっても盛り上がるラストは置いといて、全体的には美しさ・楽しさより不気味さを感じる音作り。そしてお目当ての幻想、まず第1楽章の激しさはこれまで聴いたことの無いレベル、第2楽章ワルツは余りサマになっておらず、第3楽章は中間部で弦がマックス弾きこむ重厚な表現、そして第4、5楽章はブラスもかなり鳴らし、弦がそれに負けない音量、熱狂のクライマックスの迫力はかなりのものでした。
 オケは取りたてて上手いという程ではない代わり穴が無く各パート無難な上手さ、特筆すべきは若いコンマスに率いられた弦セクション、潤いのある音色ではないにせよ、皆一所懸命弾いていて相当なボリューム(録音のマジックではなかったみたい)、低弦などドスドスいってました。第3楽章草笛と終楽章の鐘は舞台裏、アンコールは前回同様「カルメン」前奏曲、既にスタンディング・オーベーションの出ていた会場は大興奮です。

 幻想はそれほど聴いていない(10数回位?)のですが、トータルで過去最高の演奏だった気がします。中学時代ブラス部で集って聴きに行った伝説のショルティ&CSOは行かなかったので(涙)。

 実は前半は咳との格闘がかなり大変で、それがたたって腹筋がつったのか、はたまた単に冷えたのか、幻想の第4楽章あたりでお腹に強烈な差し込み、それにも打ち勝つ熱演でしたが、アンコールのカルメンの頃にはその腹痛と咳の発作が重なってグロッギー状態、コンサートに行ける体調でないことを再認識。

2007年5月6日日曜日

高関&桐朋、爽快なハルサイ

 ラ・フォル・ジュルネのコンサート巡り、オーベルニュ室内管に続き、この日最後に聴いた公演の会場は、地下のイベントスペースのど真ん中に舞台をこしらえ、360度全方向に客席を配した形。正面の席を取るべく、文庫本片手に一つ前の公演が終わる頃から陣取りました。

5月6日(日) 東京国際フォーラム 展示ホール地下イベントスペース
 高関健指揮桐朋音大オケ ストラヴィンスキー 春の祭典
ブラスはそこそこ程度の迫力でしたが、打楽器群の小気味よい打ち込みと、弦楽器の激しい刻みが際立っており、久し振りに野性味と爽快感の溢れるハルサイを聴けました。皆思い切りよく出られるのも、高関氏の明快な指揮に拠るところが大きいかも。弦セクション、特にVnがffでも金管に埋もれない位鳴っていたのが印象的。

 午前中同じイベントスペース(ここのコンサートは無料)で、足立十一中のブラスを聴きましたが、木管は言うに及ばず、金管ですら(チューバも!)探さないと男の子を見つけられません。今やブラスは女子の部活なのか…。

ヴァン・ベーク&オーヴェルニュ室内管、細やかな表現のセレナード

 ラ・フォル・ジュルネのコンサート巡り、午前中のリス&ウラル・フィルに続き、お昼に弦楽合奏を聴きました。Vnをやる友人のために買ったチケットですが、当の本人が来られなくなりガッカリ、まあ、守備範囲外とはいえ好きな曲なのでOKですけれど。

5月6日(日) 東京国際フォーラム ホールB7
 アリ・ヴァン・ベーク指揮オーヴェルニュ室内管 チャイコフスキー 弦楽セレナード、ドヴォルザーク 弦楽セレナード
 この会場はホールとは名ばかりで、ただの会議場に椅子を並べただけ、弦楽合奏を聴くにはやや遠目の席で音がダイレクトに飛んでこなかったのですが、室内オケらしく非常に統一感のある演奏、しかも指揮者の個性もきっちり反映した細やかな表現でした。ヴィオラやチェロなど中低弦がチャーミングだったのが印象的。チャイコの第3楽章はなかなか泣かせましたが、ドヴォルザークの第4楽章は今ひとつ泣かせが足りない感じ。

リス&ウラルフィル、喧騒の中の展覧会

 昨夜の「ライアーゲーム」、最初の必勝法はすぐ思いつくものでしたが、それを利した真の必勝法には感服しました。

 本日は終日雨、気温は昼間では高めで午後からはダラ下がり傾向。昨夜は咳が止まらず余り眠れず、とは言え日中寝てるので寝不足でもなく、「くしゃみは風邪のひき始め、咳は風邪のひき終わり」と解釈して予定通り朝からラ・フォル・ジュルネへ。

 やはり日中も咳が止まらず、かなりしんどかったですが、国際フォーラムで何とか3公演聴いてきました。今日から1公演ずつ感想を。

 まずは朝イチのウラル・フィル、このコンサート、「0才からのコンサート」と称して、乳幼児入場大歓迎、とは言ってもそんなに朝っぱらからお子様連れは来ないだろう、と思っていたらさにあらず、殆どの観客がお子様連れ、試しに前の列を数えてみると15名中5名が膝の上に乳幼児、それ以外も全員がその家族若しくは4歳以上のお子様という状態、それで5000人収容のホールがかなり埋まっている訳で、乳幼児だけでも1000人近く、勿論泣いてもOKというコンセプトのため、会場は大変な騒ぎ、この条件で演奏を聴くのはかなり貴重な体験でした。演奏する方もそうでしょう。

 ともあれ、咳の止まらない人間にはプレッシャーの少ない環境ではありました。

5月6日(日) 東京国際フォーラム ホールA
 ドミトリー・リス指揮ウラル・フィル ムソルグスキー 展覧会の絵、ラヴェル ラ・ヴァルス
取った席は20数列目なれど前の方がかなり空いていたので10列目に移動(ごめんなさい、巨大ホールAなので…)、そこそこ聴ける位置でした。まず展覧会、上記事情により細かいニュアンスは判り辛かったのですが、比較的オーソドックスな解釈の印象、シュミイレのTpが異常な速さだったのが強烈(ピッコロ使ってなければかなり凄い)。先日のラフマニノフよりは金管を鳴らしていましたが、やはり全開の1、2歩手前、でもそれなりのスケール感のあるクライマックスでした。ロシアンブラス度60%くらい? 後半のラヴェルの方が各パート明確でより個性を感じました。迫力もまずまず。

 空いた時間に新しくオープンの新丸ビルを覗いてきましたが、案内嬢や店員さんなどレベルが高かったです。