2007年3月18日日曜日

物量のマーラー6番 - 河原哲也&Post Komaba Orchestra

 朝はマイナス4度とかなり冷え込み、日中も冷たい風の吹く一日。午前テニス(1週間振り)、午後アマオケと典型的パターン。地元では50m以上は自転車に乗る癖に、出先では交通費をケチって駅→コート→ホールと数キロ歩く間、寒風に飛ばされそうでした。歩いてる時に比べるとプレーしてる方が右膝は痛くないかも。

 午後はこの10日間ほどで5度目のマーラー。本日は卒業生による常設オケの無い東大オケのOBによる一発オケっぽい楽団で、(聴き逃した)4、5年前の第1回は5番、この第2回では6番を採り上げます。

3月18日(日) 杉並公会堂
 河原哲也指揮Post Komaba Orchestra P.グラス チェロ協奏曲、マーラー Sym6番
前半のグラスは大編成で30分余りの曲、日本初演とか。そしてマーラー、通常よりプルトの多い弦、全パート5人(楽譜通り?)の木管、(終楽章まで出番の無い人を含め)Tp6本、Tb4本、Hr9本の金管と、昨年のルツェルンを思わせる巨大編成、それに相応しく、冒頭の低弦から重量感たっぷりで、全体的になかなかの密度の音響。ただ弦は東大オケにしては伸びに欠ける音色、ボリュームはありましたけど。またソロはともかく、パートでの強奏は金管・木管共にかなりの迫力。(最後はTpがやや疲れた感はありました。) 終始中庸のテンポで癖無く進む河原氏の指揮はシンプルでキュー少なめ、それで各パート自信を持って出てましたから、全員が曲をしっかり把握してることが伺われます。(マーラーだとプロでも「この人達、曲を知らないんじゃないの?」というミスがよくあるので。) 特筆すべきは終楽章3つ目のハンマーの復活(個人的には賛成)、また曲順は今風に旧第3楽章が2番目(個人的には反対、大好きな楽章はなるべく後に聴きたいので)。重量プロのため、アンコールは無し。

2007年3月17日土曜日

メータ&IPOのゆったり7番

昨夜は2時頃職場に行き、4時頃そのまま意識を失って最初は机、その後は床で睡眠、目が覚めたら10時でした。ちょっと損した気分。

 天気は良いながら、少し肌寒い一日。右膝がまだ不安なので練習はお休み、夜のコンサートに備え日中はごろごろ過ごしました。

 今夜はメータ&IPOのマーラー、数年前にこのコンビで6番を聴いてますが、オケは巧いけれど上品にまとまり過ぎで、特に金管が抑え目で弦とのバランスを常に保つところが不満だったと記憶してます。7番はどうでしょうか。

3月17日(土) サントリーホール
 ズービン・メータ指揮イスラエル・フィル シューベルト Sym5番、マーラー Sym7番
オケは先週の群響と同じ対向配置、テンポは逆に(第4楽章以外は)遅め、それなりに動かしはしますが基本はゆったりじっくりオケ任せの表情作り、オケが巧いのでそれで十分聴き栄えはします。弦主体の音作りで上品にまとまってはいるけれど毒とインパクトに欠ける点は前回の6番と全く同じ。最後の最後にTbが少し吹くなど、今回の方がややブラスは派手だったかも。逆に弦セクションは前回(東京文化の5階)感じた潤いと艶は余り感じられず、ボリュームのみ感じました。席位置(RAブロックP側)のせい? 遅めのテンポで各パートの名手が入れ替わり楽しそうに紡いでゆく終楽章が一番印象的。あとオケの団員が専門外のマンドリンとギターを担当する趣向(たぶん)がお洒落でした。アンコールは無し。

 立派な演奏でしたが、これだけのオケならもっともっと凄い演奏を、と期待してしまいます。明日はアマオケで6番、その前に今夜から開幕のF1です。

2007年3月11日日曜日

高関&群響、推進力の7番

今土曜の深夜、日曜は午後に高関&群響のマーラーを聴き、その足でテニス合宿に行ってしまうので、今のうちに記事だけ作っときます。

 このコンビはこの時期の「地方都市オーケストラ・フェスティバル」で毎年の様にマーラーを採り上げています。前々回の3番を聴きましたが、可も無し不可も無しといった印象、ただ第4楽章(「ビン、バン」の前の超陰気な楽章)の振幅の大きな表現だけ憶えています。<この項続く>

<続き>
 この日は晴れたり降ったりの不安定な天気、朝から気温は下がり続け、午後の気温は真冬並みでした。暖かい場所へ合宿に行くから半袖にしたのに…。

3月11日(日) すみだトリフォニー
 高関健指揮群馬交響楽団 マーラー Sym7番
アクは無く、各パートを明確にし、キビキビと推進力のある演奏、雰囲気重視になりがちな第1、4楽章ですら、速めのテンポで行進曲的な要素が感じられ、また第3楽章では今まで気にしてなかったパートが浮き彫りに。オケでは対向配置で左側に回った低弦の厚みのある音と、フォルテシモでも周りに消されない木管群の頑張りが印象的。ブラスではHrがよく鳴っており、あとバスTbがいい音でした。終楽章は速めのテンポで一気呵成か、と思ったらそれ程でもなく、クライマックスもそれなりでした。

 昨日の読響よりオケの音は薄い筈なのに、同じ3階でもすみだと芸劇の音響の違いで、今日の方がずっと豊満に響きました。ホールの違いは重要ですね。

2007年3月10日土曜日

ホーネック&読響のメリハリマーラー1番

平年より少し高めのそこそこの陽気、午前中は流しての練習(まだ右膝が痛いので)、コート近くの梅干屋さんの梅の花はほぼ散ってましたが、その近くの早咲きの桜にはうぐいすが戯れており、絵に描いたような景色でした。

 午後はホーネック&読響のマーラー、の予定をすっかり忘れておりチケット未入手。夕方公演なので、取り敢えず開演2時間前に芸劇で偵察。当日券発売開始30分前から並び、いざ窓口へ、「A、B席のみ」と書いてあるのに、何故か販売用の座席表には最安席らしき位置に1つだけ蛍光ペンの印!「これなんですか?」「はいC席1,800円」とあっさりGET!行ってみるもんです。

 このコンビのマーラーと言えば数年前の3番、弱音への拘りは昔のアバドを思わせ、それにアクの強さを加えた感じの見事な演奏でした。

3月10日(土) 芸術劇場
 マンフレート・ホーネック指揮読売日響 シューベルト 未完成、マーラー Sym1番
最初のシューベルト(これが未だに7番か8番かは知りません)、ホーネックらしくピアニシモに拘った振幅の大きな解釈。途中「楽譜にそんな指示は無いだろう」と思えるうなユニークなボウイングが散見。 そして後半のマーラー、弱音の精妙さは勿論ですが、メリハリがよく効き、激しいところはより激しく、という表現がより印象的、特にピッツィカートやアタックを強調した弦が特徴で、第2楽章での弦の刻みは野趣溢れるもの。リハ不足なのか、昨年の定期に比べると精度の高い演奏ではありませんでしたが、それでも十分凄い演奏でした。ブラス陣では1stTpの音が見事、Hrもまずまず鳴って、クライマックスもバッチリ、芸劇(の外野席の最上方)でなければ、かなり興奮したかも。Hrの起立は指定通り、アンコールは無し。

 サントリーホール改修で、これから数ヶ月は芸劇で聴く機会が増えるかと思うと憂鬱です。

2007年3月4日日曜日

タコオケの15番 - 長田&オーケストラ・ダスビダーニャのショスタコーヴィチ15番

 いやあ、さっきまで観てたK1GP開幕戦は凄かったっす。でも今日は書くことが多いのでこの話題はまた明日。

 本日は昨日より更に暖かく20度弱、もう五月晴れの趣。午前中はテニス、そして午後は楽しみにしていたショスタコ専門アマオケ、今年も昨年のような破壊的な演奏が聴けるでしょうか。

 今年のメインは15番、引用だらけのこのチャカポコ交響曲、4番に近くそれ以上に謎の曲という印象で、これまでアマオケで2回くらい聴いただけです。

2007年3月4日(日) 芸術劇場
 長田雅人指揮オーケストラ・ダスビダーニャ ショスタコーヴィチ 映画「ピロゴフ」の音楽による組曲、Vn協奏曲1番、Sym15番
 2階に配したTpソロから始まる最初の「ピロゴフ」は、粋なワルツあり8番の自己パクリありの賑やかな曲、要所のブラスのベタ吹きと破壊的なパーカッションはさすが。VnC1番はこの一年で4回くらい聴いてますが、自分には少しキビシイ曲、ソリストの荒井英治氏は熱演の後にショスタコのアンコール(「馬あぶ」から?)。
 そして後半の15番、Tbとパーカッションは昨年ほど破壊的ではなかったにせよ、Tpはたった2本なのに圧倒的な貫通力、とにかくフォルテシモのベタな響きはこの曲では初めての体験。あとHrソロがお見事でした。開演から2時間半以上経過していたせいか、アンコールは無し。

 花粉症なんでしょうか、真後ろの席の人が3秒に1度のハイペースで盛大に鼻をすすりまくっており、前の列の人まで振り返ってました。(僕じゃないです!) 連れの人注意してあげて下さい。鼻血が出た時の様にティッシュでも詰め込んで口で呼吸すると効果があると思います。(風邪の鼻水では実験済み。)

 隣の女の子二人の会話:
「1947年作曲?現代曲じゃん」「ショ、ショスタコーヴィチ?だれ、それ?」「何か全部ショスタコー何とかさんの曲だよ」「えーっ!」
す、凄い、マニア(タコヲタ)以外に聴きに来てる人がいたのか…。

2007年3月3日土曜日

かなり早い夏限定 - 米澤穂信「夏期限定トロピカルパフェ事件」

朝はゆっくりして午後はテニス、抗日運動の記念日なのか要人が来てるのかよく判りませんが、朝鮮関連のデモや機動隊で東京駅界隈は大渋滞、バスもそれに巻き込まれ遅れるかとヤキモキ。

 今日は15度超の初夏の陽気(大げさ)、と言うことで、先日の「春期限定」の続編「夏期限定」を手に出かけました、「春」同様小部なのですぐ読了。

 夏が舞台ゆえ暑さの描写で一杯、夏大好き人間の自分には気持ちいいんですが、ただその感覚が正反対、特に次の表現:

エアコンがよく効いていて、外の不快指数と共に高まっていたぼくの不快感は一気に降下した。涼しいだけでこんなに寛大な気分になれる。

は、炎暑大好き冷房大嫌いの自分には、全く裏返しの感覚。あとエアコンの設定温度二十七度が高いという記述とか、まあ、これが世間の大多数の意見らしいけれど。

夏期限定トロピカルパフェ事件 米澤穂信
 「小市民」を目指す小鳩くんと小佐内さんの夏、今回は連作短編風の長編、小さな事件の終わりに大きな事件も待ってます。二人の内面にも斬り込んだ内容になっているところが印象的ですが、ミステリー的にはそれなり。タイトルから推察されるように、甘いものが苦手な人は最初の数十頁で胸焼けするのでは。

 前作の「羊の着ぐるみ」と「狐狼の心」の題名の理由が判らないと書きましたが、こと後者に関しては、(僕の様な鈍い読者のために?)本作の序章に解説してありました。前者に関してもヒントとなる記述があったような…。

 明日はタコオケ"ダスビ"の公演、ショスタコイヤーだった昨年、20回余り聴いたショスタコの中でここが一番だっただけに今年も楽しみです。