2009年6月28日日曜日

大植&ハノーファーの9番

 オケのハシゴ後半、アマオケの「アラとロリー」終曲とアルプスSymを泣く泣く諦め、後ろ髪を束で引かれつつトリフォニーからサントリーへ移動、到着は丁度開演の3時過ぎ、ただ入場や音合わせがあるので、比較的余裕でした。

 大植のマーラーは先日の大フィルとの5番が異形の牛歩演奏だっただけに、9番だとどうなるか、ちょっとワクワクして臨みました。

6月28日(日) サントリーホール
 大植英次指揮ハノーファー北ドイツ放送フィル マーラー Sym9番
大フィルの時と同じで弦バスが最後列に並ぶ対向配置、その5番の時ほど遅くはないにせよ、やはり遅めの重厚長大系でトータル100分弱(!)、しかも旋律の歌い回しにおける細かいタメはその時以上で、(スケール小さめながら)なかなか上手なこのオケでも合わなくなる部分も。第2楽章で付点音符を普通と違うリズムに取っていた点(要スコア確認)と、第3楽章中間部の振幅大きな表現が印象的。オケでは4本なのによく鳴っていたHrと、終楽章の頂点、弦だけが残る直前でのTpの激しい吹きっぷりが見事(普通の人はこれをうるさいと感じるんでしょうけど)。ゆっくりかつ着実に進んだ終結部、音が消えてから26、7秒程で大植が緊張を解く前に拍手がスタート、彼がどれだけ黙祷を捧げる積りだったのかは分からずじまい(因みに5番の時のアンコール後の黙祷は約50秒)、今回はさすがにアンコールは無し。

 オケの違いもあってか、前回よりバランスの取れたコテコテ系マーラーを楽しみました。

 今夜はこれから戦国G、NBAファイナルダイジェスト、そしてコンフェデ杯決勝と盛り沢山、ウィンブルドンがお休みでよかった。

<追記> 第1楽章だったか、最前列のチェロ奏者のガットが切れた(テニスと混同してます)らしく、張替えに楽器を持って外へ出て行きました。ヴァイオリンだとバケツリレーならぬ楽器リレーをするのに、チェロはそのまま当人が持って出るんですね。

バーバリズム炸裂のプロコ「スキタイ」 - 千葉芳裕&ル スコアール管弦楽団

 今日のボケ老人:朝電車に乗り一息ついたところで大植&ハノーファーのチケットを持参してない気がしてカバンの中を見ても無く、発車直前に飛び降りて家へダッシュ!しかし家にも無し、職場か?それとも未だ発券してなかったか? でも冷静になりもう1度カバンをよく探したら、あ、ありました…、バカ騒ぎだ…。

 雲りで気温はギリギリの夏日程度、昨日プレーした影響で左膝が痛く今日は休養日、まず午前中は教え子の応援、上記失態のためかなり遅刻。

 午後はコンサート、ただ大植&ハノーファーの9番とほぼ同じ時間帯に、かなり楽しみだったアマオケの演奏会が重なってます(涙)。大曲志向のこのオケ、今回のメインはアルプスSym、そして前プロは何とあのプロコ「スキタイ組曲」です。

 特に後者はアバド&CSOのレコード(古い)にノックアウトされて以来、超々お気に入りの曲、なのに生は未体験、これだけでも、と作戦を練ることに。

 アマオケはトリフォニーで午後2時開始、ハノーファーはサントリーで3時開始、移動に要する時間は約30分、前半だけなら行ける!とハシゴすることを決意してトリフォニーへ、予報とは裏腹に強い雨が降り出しました。

6月28日(日) すみだトリフォニー 
 千葉芳裕指揮ル スコアール管弦楽団 プロコフィエフ スキタイ組曲「アラとロリー」、R.シュトラウス アルプスSym
 ステージ上に所狭しと並ぶ大編成、TpとTbは各5本、Hrは8-9本、第1曲の前半は壮麗に鳴り響き後半のppもケレン味たっぷり、最大のお目当て第2曲ラストのブラスの咆哮は野蛮にして豪快、しかし残念ながら曲が始まったのが2時6分頃だったため、第3曲まで聴いてタイムアップ!終曲は諦めました(涙)が、1曲めのパーカッションの叩きっぷりから想像するに豪壮華麗なラストだったのでは。
 因みに後半アルプスSymに使用するウィンドマシーンが両サイドに計2台、サンダーマシーンに至っては舞台にズラリと4台も並び、更に上方オルガンの両脇に1台ずつ、しめて未曾有の6台!も用意されてました。後半も凄いことになったのでは、聴けなくてホント残念。

 痛む左膝を引き摺って錦糸町駅へとダッシュ、サントリーへ向かいました。この続きはまた次の記事で。

2009年6月24日水曜日

善意の人の描く悪意 - 宮部みゆき「模倣犯」

 昨夜の「白い春」は予定通りの展開なのにやはり泣きました、ベタに弱いので。またその後に観たネットに出まくる伊達のプレーには感嘆するのみ、BBC(?)の実況メンバーも感動してました。

 朝方まで強い雨、気温はその後昼過ぎまで下降気味、ただ雨が上がり夕方近くになって上昇に転じ夏日を確保、コートも乾いてアフター5は同僚との週イチ和やかテニス。

 昨日死亡したWindows2000マシンを部屋の隅に追いやり、計算専用のLinuxマシンを足元に持ってきて、日常業務に使えるよう環境を整えるべく悪戦苦闘した(けれど失敗しまくった)一日。

 本日はこの半月ほど携行していて、昨夜やっと読了した本から、著者の集大成的作品で文庫にして5分冊、古本屋で1冊100円の棚で見かけたら購入、とバラバラに買っていたら、5巻揃えるのに1年程要し、しかも(ボケ老人ゆえ)途中で第何巻が購入済みなのか覚えきれなくなり、同じ巻(第5巻)をダブって買ってしまったりも。

模倣犯 宮部みゆき
 快楽的に拉致殺人を繰り返し、マスコミをも巻き込んで劇場型犯罪に発展する顛末を(「理由」の時に導入した手法の応用か)多面的に描きます。"善意の人が描く悪意"という点で、「スナーク狩り」を思い出しました。方々にばら撒いた伏線を全ては回収しない(敢えて?)ところ、タネを早めに割ってしまう構成、"建築家"の扱いなど勿体無い点が多い気もしますが、ミステリー的驚きより、人の心を描くことを重視する著者の姿勢なのでしょう。表題の意味が最後の方でやっと判るところが渋いです。
<<以下ネタばれに付き未読の方は飛ばして下さい!!>>
高井和明の役割やピースの正体を最後まで判らない様に書くとか、それどころかピースが実は若手刑事の一人など、「いいひと」側の主要人物だったなど、構成を工夫すればいくらでもディーヴァーばりのサプライズを作れるのに、とつい思ってしまいました。

 マスコミ媒体の中で「週刊ポスト」だけ実名で出てきて「おや?」と思いましたが、初出がその週刊ポストの連載だったとのこと、しかもあの酒鬼薔薇事件('97)より前の連載時期です。

2009年6月21日日曜日

5番初体験、但しグラズノフ - 秋山俊樹&ラスベート交響楽団

 今日は夏至、なのに朝から激しい雨で当然練習は中止、ただ昨日プレーした影響でまた歩くのもシンドイ位左膝が痛くなっており、「休め」という天の声かも。

 午後、雨が弱まってコンサートへ、聴きたいものがいくつかあり迷ったのですが、1月に凄いブラスを聴かせてくれたアマオケにまず食指、ただメインはグラズノフの5番とマニアック、このオケの10年の歴史で4、6番に続きもう3度目のグラズノフの交響曲とのこと。

 グラズノフの交響曲の生は初めてで、「5番ならスヴェトラとムラヴィンの演奏が手元にある筈」と捜索、スヴェトラーノフは発見出来ませんでしたが、ムラヴィンスキーの来日公演のCDを聴き、ノー天気な終楽章の大暴れに期待してこれに決定です。

6月21日(日) かつしかシンフォニーヒルズ
 秋山俊樹&ラスベート交響楽団 ウェーバー 魔弾の射手、ブラームス ハイドンの主題による変奏曲、グラズノフ Sym5番
 1曲目、これだけ臆面も無くブラスが吹くウェーバーは初めて、弦も鳴ってました。ハイバリを挟んでお待ちかねグラズノフ、両端楽章のラストでは期待通りの豪快ブラスが梅雨を吹っ飛ばしてくれました。アンコールも当然グラズノフ、「四季」からしみじみ系の曲。

 ロシアのオケがどんどんニュートラルな響きになってゆく昨今、この極東の国において、ここラスベートやダスビダヴァーイ等々、ロシア語名を冠したアマオケの中にロシアンブラスの伝統が息づいています。たとえそれがメロディアの杜撰な録音による虚像かもしれないとしても。

 いまどき珍しくホールを含め建物に空調が入っておらず、周りの人は蒸し暑い、とこぼしてましたが、個人的には超快適!省エネ配慮に感謝感謝でした。

 今夜はこれからシルバーストーン、その後にコンフェデ杯のセレソンです!

2009年6月16日火曜日

アルミンク&新日フィルのマーラー9番

 今日も曇り、気温は昨日より更に低め、左膝は少しよくなってそこそこ歩けるようになりましたが、まだ階段はシンドく、壁打ちも2日連続してお休み。

 本日も夜はサントリー、3番で始まったアルミンク&新日のマーラーも最終局面を迎え、今日の9番と11月の8番を残すのみ、もし土曜にレック&東響をブッチしていなければ、この5日間で4日のサントリー詣でになる筈でした。

6月16(火) サントリーホール
 クリスティアン・アルミンク指揮新日フィル アルマ・マーラー 夜の光、マーラー Sym9番
最初はマーラー妻の初期歌曲、ところが大編成オケが既に配置に付き、歌手(市原愛)も伴奏ピアノも見当たりません。「キャンセルになり9番のみか」と思っていたら、何と舞台裏(袖?)から遠くピアノと歌が聴こえてきます。そして歌曲が終わると間を措かず第1楽章スタート、これまで通りアルミンクのマーラーはアク抜き薄めの味付けで、種々のパートが明瞭に主張する音作り、第3楽章ラストがかなり速かったことを除き、予想通りの流れでしたが、終楽章になると最初の動機から(コンマスともども)かなりの気合の入れようで、強弱の振幅も激しく、芯のある弦の響きが聴けました。ただ殆どの箇所が2つ振りで、そのせいか肝心の頂点で響きがぼやけることも。またオケ的にはややキツイ位に絞ったラストの弱音もなかなか効果的。ブラスでは(Pブロックしかも目の前がHrのベルという席だったためバランスはよく分かりませんが)Hrががっつり鳴っていたと思います。

 最後の一音が消えた後、アルミンクが棒を降ろすまで約40秒、そして緊張を解いた後も更に7、8秒は(怖くて)誰も拍手を始められませんでした。

 帰り道は3日連続して雷雨に遭遇、と言うか今夜はホールを出た時点でもう土砂降り、高速バスに乗った頃には今読んでいる宮部みゆき「模倣犯」が濡れてべこべこ(涙)、カバンに入れていたのに…。

 今晩から「LOST」シーズン3です!

2009年6月15日月曜日

秋山&読響の家庭Sym

 2、3日前から書こうと思っていたのですが、阪神今季は白旗です。岡田監督って、余り考えてなさそうで実はよく考えていたんだ、と痛感する今日この頃。

 曇りがちで時々陽が射す梅雨の晴れ間、と言うにはやや気温は低めで平年割れ、週末の練習の影響で左膝はかなりの痛み、満足に歩けません。

 あと先々週の関西出張の頃から手指以外にもジンマシンが出ているのですが、昨日辺りからそれが激化、左腕が発疹でボロボロです(涙)。

 夜はR.シュトラウス祭の第8弾にして最後を飾る秋山&読響の家庭Sym、同曲は今季実に3度目、そして氏の指揮では東響に続き2年連続、また奇しくも4月の上岡&新日と前プロまで同じです。

6月15日(月) サントリーホール
 秋山和慶指揮読響 R.シュトラウス 組曲「町人貴族」、家庭Sym
前半の町人貴族、まとまってはいましたが上岡&新日の瀟洒な表現を聴いてるだけに物足りない感じ。そして後半のお目当て家庭Sym、東響の時と同様表現はオーソドックスで手慣れたもの、ただ読響ならこの位は当然、という程度、9本揃えたHrはまずまずの鳴り、終始無難に終わるのかと思っていたらコーダ前、最大のクライマックスではテンポをぐっと落とし雄大にして豪快、5本のTpを中心にブラスの鳴りは同曲過去最高クラス、そしてラストの3音も大見得切って豪快に鳴らし、「終わりよければ全てよし」的演奏でした。

 昨年の演奏と比べるとまとまりでは東響、迫力では今日の読響といった感じ。あと双眼鏡で探してもSax奏者は発見出来ず、割愛したのかも、まあ、この曲のSaxは大家R.シュトラウスにしては存在感の薄い使い方なので、いいと言えばいいんですが。

 コンサート後、家に帰る頃にはまた雷雨!梅雨前半と言うより後半っぽい天気です。

 明日はアルミンクのマーラー9番です!

2009年6月14日日曜日

アカペラ5人娘 - Aura

 天気はぼちぼち、気温は昨日より下がって平年やや低めか、傷めている左膝は普段びっこを引かない程度に快復してましたが、昨日半日みっちり練習した影響で日常に支障をきたすほどの痛み、特に電車の乗り換えがしんどいです。それでも週末しか練習出来ないので午後ゆるめに練習。

 練習帰りに渋谷タワレコに寄り、インストアイベントへ。聴いたのはAuraという女性5人のアカペラユニット、圧巻だった「トッカータとフーガ」などバッハを中心に30分たっぷり5声のポリフォニックな響きを披露してくれました。ただマイクが無ければもっと良かったです。

 夕方のFM放送、渡邊一正&東フィルのショスタコーヴィチ5番のライブに間に合うよう地元に戻ると、(この地方では珍しくないのですが)自分に落ちるのでは、と恐怖を感じる様な雷雨、しばし駅で雨宿り、「まあ、留守録セットしてあるから、いいか」と余裕をこいてゆっくり家に帰ると、な、何と!タイマーセットをミスっており、留守録がスタートしてません(涙)。

 明日は今年3度目の家庭Sym、忘れないようにしなければ…。

2009年6月4日木曜日

フェドセーエフ&モスクワ放響のチャイコフスキー4番、白鳥の湖

 関西出張から戻り今サントリーホール前、これからフェドセーエフ&モスクワ放響でオールチャイコプロ、例によって記事のみにて、続きはまた明日。

<続き>
 翌日にこれを書いてます。昼まで学会でお勤めをし、昼過ぎに芦屋在住の姉に合流しテニス、その後新幹線で戻りサントリーホールへ。2日間京都・大阪から芦屋にかけて徘徊しましたが、マスクする人は東京より少ない印象、残念ながら豚インフルには感染出来なかった気がします。

 この夜のコンビは確実にそれなりの演奏が聴け、アンコールも楽しいのでよく行ってますが、(それ以外を選択出来ればそちらを聴くせいか)チャイコフスキーがメインの演奏会は初めてです。

6月4日(木) サントリーホール
 ウラディーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放響 チャイコフスキー 白鳥の湖、Sym4番
以前からそうだったのか忘れましたが、オケは対向配置で弦バスが最後列にズラリ、Tp、Tbの右側にHrが位置し、パーカッションが更にその右。フェドセーエフはこの10年来ずっとそうですが、ブラスは抑えてバランス重視の音作り、もう慣れちゃって不満に思わなくなってますが、連れは「金管吹いてないんだけど」と驚いてます(笑)。
 前半の白鳥の湖は中盤のハープとチェロのソロが存在感抜群。弦がうねる(でもブラスはほどほど)クライマックスもまずまず。後半の4番も遅め基調のテンポを揺らしつつで弱音に拘り爆発しないスタイル、第2楽章中盤でのびっくりスローテンポと、第3楽章へはアタッカでかつpppで入ったのが印象的。弦はよく伸び、ブラス(特にHr)は常に抑え気味、木管は見事だった前回来日時より少し冴えない感じ。アンコールはやはりチャイコから2曲、しみじみ系とパーカッション大活躍の激しい系、ただお得意の「雪娘」ではありませんでした。