2005年6月5日日曜日

国名のアリス - 有栖川有栖「マレー鉄道の謎」

 いいお天気、なのにテニスが出来ないのは辛いところ。

 「月光ゲーム」「孤島パズル」など江神・アリスコンビの作品群では、有栖川有栖は法月綸太郎をも凌ぐ、E.クイーン前期の正統な後継者だと思います。ロジック本格至上主義者としては、世界的にも高く評価されるべきだと考えるくらい。

 一方、「マジックミラー」など、ノンりシーズ作品にも切れ味鋭いものがあるにせよ、国名シリーズなど同著者の火村・有栖コンビの作品群は何作か読みましたが、ロジックの妙味に不足する気がして、このシリーズはもう読まなくてもいいかな、と感じていました。

 ところが先週末の帰省時、旅の途中で手持ちの本が無くなり禁断症状が出て、キオスクで手に取ったのがその中の一冊。

マレー鉄道の謎 有栖川有栖
 メインとなる謎は、海外の某有名密室競作へのオマージュとなっています。これまで読んだ火村ものの中では一番論理の妙味があり、それなりに納得出来る作品でした。とは言え、その点では江神ものには遠く及ばない気はします。また、謎の解決は人によってはしょうもないと感じるかも。鷹城宏の巻末解説(講談社文庫版)もなかなか穿っています。

 江神ものは、そのレベルを維持することを自らに課しているせいか、なかなか出版されませんし、火村ものもそれなりに読もうかな、と考え直した次第。

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