2005年7月24日日曜日

中庸+α - 若杉&都響 マーラー5番

 いまF1ホッケンハイムが始まったところ。本日も関東は肌寒く、これで3日連続して最高気温が大阪35度前後、関東25度前後という情けなさです。これがひと夏続かないことを切に祈ります。

 20年ほど前、マーラーと言えば若杉&都響という時期があり、その頃このコンビを何度か聴きました。その後ベルティーニとかぶるせいか、余りこのコンビのマーラー聴く機会がありませんでした。本日、十数年ぶりに聴くことができました。

7月24日(日) ミューザ川崎
 若杉弘指揮都響 マーラーSym5番
あやふやな記憶によれば、若杉のマーラーは粘り過ぎず、といって淡白でもない、といった感じで、中庸という印象があります。今日も基本的にはそんな演奏で、ある意味安心感はありますが、目を瞠る部分も無いといった印象。またリハ不足なのか、オケの出来は今一つで、以前に比べ表現の統一感や音のシャープさに欠けました。と、ところが、終楽章のクライマックスは「え、コバケン?」というくらいに(バランスを崩してまで)ブラスを開放的に鳴らしており、かなり興奮の大団円でした。芸風が変わったのか、認識(記憶)が間違っていたのか、いずれにせよ嬉しい驚きでした。

2005年7月21日木曜日

アルブレヒトの煽り - アルブレヒト&ドイツユンゲ管のマーラー1番

 梅雨明け直後にしては暑さが甘く、ぎりぎり真夏日という程度。久々に海外オケを聴いてきました。

7月21日(木) 武蔵野市民文化会館
 ゲルト・アルブレヒト指揮ドイツユンゲ管 エグモント、ハルトマンSym1番、マーラーSym1番
アルブレヒトのマーラーと云えば、読響との5番を聴いた印象では、速めのテンポで粘らず淡々と、但し対位法などはカッチリと、立派だけれど面白みの無い演奏、という感じでした。今回の「巨人」も全般にそんな印象でしたが、若いオケに合わせたのか、ラストは少しあおっており、それが妙に効果的でした。オケはホルンがよく鳴っていて、なかなかの迫力。アンコールも頑張って2曲、ローエングリン第3幕前奏曲と「巨人」第3楽章中間部。前者の若さ溢れる雄渾な演奏が印象的でした。

 市民文化会館からの帰り道、満月がとても綺麗でした。

2005年7月18日月曜日

意欲的 - 橘&ル スコアール管のシンフォニエッタ、ニールセン5番

 今日は昨日を遥かに上回る真夏の陽気、このまま梅雨明けしそうな勢いです。冷房がギンギンに効いた屋内や車内から出るとホッとする季節になりました。フツーの人はゾッとするのでしょうけれど。
<追記> どうやら本当に梅雨明けしたようです。しかも外は3日連続の稲妻ショー。

 練習とコンサートの時間帯が重なり、最近コンサートへ行けてないので後者を選択。ヤナーチェク、ハチャトゥリャン、ニールセンと、いずれも実演では初めてかせいぜい2度目の曲ばかりなので楽しみです。

7月18日(月・祝) みなとみらいホール
 橘直貴指揮ル スコアール管弦楽団 シンフォニエッタ、仮面舞踏会、ニールセンSym.5番
このアマオケはいつも意欲的なプログラムで楽しませてくれます。どれも金管好きにはこたえられない曲ですが、特にヤナーチェクではPブロックに配した9本のTpのバンダの効果も目覚しく、ラストは壮大な響きを聴かせてくれました。TbとHrの音色も逞しく、ニールセンでもスケールの大きなクライマックスを築いていました。

 このオケの次回はブルックナーの8番、その次はマーラーの9番とのこと。本当に意欲的で目が離せません。

2005年7月9日土曜日

当日券と八面六臂 - 毛利沙織さんのハープ

 本日は雨、7月に入ってからは通常の梅雨より雨が多い気がします。今日はテニスの予定が無く、2つの演奏会を聴く積もりで東京へ。

 まずは渋谷タワーレコードでインストアイベント。毛利沙織さんのハープです。自作のクラシカルポップを中心としたCDを数枚リリースしているとのこと。スレンダーで優しそうな方で、自作のメロディにもその優しい雰囲気が出ている気がしました。2種類のハープを使用して、自作を数曲とポップス・クラシック双方から有名曲を2,3曲披露してくれました。自作の曲ではアレンジによっていろいろな音が出てくる都合上、録音した音声とマイク・アンプを使用してのパフォーマンスとなりましたが、純粋にアコースティックな演奏も聴いてみたかったです。

 ステージの前に音合わせを兼ねてリハーサルをやっており、そこではほぼ通しで3,4曲、しかも本番ではやらなかった曲ばかりを聴けて嬉しかったです。ミーハーなのでハープと云えば竹松舞さんですが、ハーピストは見目麗しい方が多いようです。また特筆すべきは共演のフルート奏者の渥美敏行さん。フルート、ピッコロ、2種のリコーダーを持ち替えて演奏するのみならず、サウンドエンジニアにカメラマンまで担当するという八面六臂の大活躍でした。
<追記> 毛利沙織さんのブログを見ていたら、この日の演奏会風景の写真に観客の一員としてうっかり入ってしまっていました。背中だけとはいえ、とても綺麗で楽しいブログに参加できて光栄です。

 上記のイベントの後、飯森範親&東響のマーラー9番を聴きにサントリーホールへ。この組み合わせの5番はダイナミックな箇所で本領を発揮する演奏でしたし、個人的に9番は繊細で神経質な演奏より、ダイナミックな演奏(特に終楽章)が好みなので、そうなるかも、と期待しての当日券狙いです。9番なら売り切れは無い筈ですし。開演よりだいぶ前に会場に着きましたが、当日券はもともと5000円以上しか出ておらずNG。余った券を持っていそうな方に声を掛けて(貰って)交渉するも4000円までしか見つけられず、国内オケに4000円以上は出さないポリシーなので、これも断念。9番にしては珍しく前プロのコンチェルトがあり、途中休憩時にディスカウントされる(だろう)当日券を買う作戦に切り替えました。

 しかーし、開演と共に当日券売り場が閉まったまま、2度と開くことはありませんでした。勿論未だ残券はかなりあったのですが…。コンサート後半からの入場者には残券を割引して販売する、という方式はまだ一般的ではなかったんですね。いくつかのオケはやっていると思いますが。という訳でスゴスゴと手ぶらで帰ってきた次第です。

2005年7月5日火曜日

愚直な後継者 - 法月綸太郎「法月綸太郎の功績」

 そこそこの陽気ながら、真夏日には1、2度届かない感じ。しかも夜からはまた雨。

 有栖川有栖と並び、そしてより愚直にE.クイーンの衣鉢を継ぐ法月綸太郎の新しい文庫を発見!デビュー後数作にしてE.クイーン後期の境地に達してしまった著者ですが、それ故になかなか新作が出ません。久し振りの文庫化作品なので、(珍しく)定価で購入し即読了。

法月綸太郎の功績 法月綸太郎
 タイトルから推測される通りの第3(?)短編集。ハリイ・ケメルマン風のアームチェア・ディテクティブもの「都市伝説パズル」が見通しの良いロジックの佳品、何と本国版のEQMMに英訳掲載されたとのこと!著書の後書きにもあるように、シンプル過ぎて真相が判り易いという難点はあるかもしれませんが、シンプルであってもロジックで真相に辿り着けるようなパズラー自体、稀少価値ですから。また「縊心伝心」は、折角のアイディアを上手く料理し切れていない感があって勿体無い印象。全体としてはやや無理のあるトリック・プロットの作品が多いのはご愛嬌、そういった作品はむしろメタ本格若しくは本格のパロディと読むことも出来ます。