2010年7月15日木曜日

救いある翳 - 道尾秀介「シャドウ」

 曇りながら青空ものぞく熱帯夜&真夏日、日没後の西の空には三日月と金星が仲良く並んでいます。

 さすがにもうツツジの花は見かけなくなりましたが、ヒマワリは半月ほど前からあちこちで咲いています。

 時々通る道沿いに、庭の中の5m四方程が全部ヒマワリ、というお家があります。例年は数え切れない位の本数の2m以上ありそうなヒマワリが押し合いへし合い立っているのに、今年はパラパラとほんの数本しかありません、意図的にそうしたのか、自然にそうなったのかは分かりませんが、ちょっと淋しい感じです。

 ヒマワリと言えば「向日葵の咲かない夏」の道尾秀介、彼の第4作は同様に子供を主人公しており、第7回本格ミステリ大賞受賞傑作とのこと、ブラジルの喪に服していた頃に読み、これで夏の課題だった初期作完遂を果たしました。

シャドウ 道尾秀介
 ある父子家庭を軸に主人公の周りで起きる転落死など大小の事件が他視点で語られ、種々の伏線を回収する結末へと収束します。序盤掴み所の無いストーリーの背後にある絵が徐々に浮かび上がってくる構成は巧く出来ており、しっかり騙されました。ただ、お話を綺麗にまとめようとする意図が見える点と真相の意外性の点で「向日葵の咲かない夏」には一歩譲る印象です。

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