2006年10月13日金曜日

アバド&ルツェルン、やわらか重戦車のマーラー

 あーあ、ダイエーはつくづくプレーオフとは相性が悪いですね。あ、今はソフトバンクか。しかし、日ハムが優勝するなんて想像もしませんでした、予想した人は少ないと思います。

 今夜はアバド&ルツェルンのマーラー本番。アバドの来日公演と言えば、LSOとの5番が最高でした。その後BPOとの9番は何とか立見席(!)で聴いたものの、2番、3番は安く入手できず断念。

 今回も馬鹿げたチケット価格設定のため一旦は諦めていた公演だけに幸せです。ただ昨日リハを聴いてるのでワクワク感は少なめ。帰りが遅くなるのて、取りあえず記事のみにて。

 戻りました。とても良かったです。満足したせいか、京極夏彦の新刊文庫を座席に置き忘れてきたくらい(大部ゆえ1200円もしたのに・・・涙)。

 私見ではアバドのマーラーは、マーラー独特のアクは少なめで、内声や対位法をクリアーにしたシンフォニックなスタイル。そして静と動のコントラストが激しく、ハマった時のffの響きはピカイチ。また実演ではディスクよりも旋律をより歌い込む印象を持ってます。

10月13日(金) サントリーホール
 クラウディオ・アバド指揮ルツェルン祝祭管 モーツァルト アリアを3曲、マーラー Sym6番
前半のモーツァルト、ソプラノのハルニッシュは細身なのにかなりデカい声が出てました。そしてマーラー、まず編成が大きい!弦のプルトは多いし、ハープは3本、木管は全パート4管以上、金管も(終楽章しか出番の無い?)5th、6thTpや4thTbがちゃんと別にいて、サントリーの舞台は満員電車状態。ルツェルン祝祭管はやはり上手で、圧倒的なボリュームの弦、木管の名人芸、ドイツ風の末広がり系迫力のブラスなど、「P席だと・・・」という不安を払拭するような音の洪水、一流の演奏は聴く場所に拠らず凄いことを実感。しなやかさと豪快さを併せ持つ、柔らかな重戦車というイメージのオケでした。
 まず第1楽章は分厚い響きに圧倒され、第2楽章(旧第3楽章)はお得意の精妙なピアニシモと表情豊かなカンタービレで魅せ、そして第3楽章はアクセント強めの野趣溢れる演奏。だた第2楽章は本番では少しやり過ぎたせいか、入りのゾクッとする表情などリハの方が良かった感じ。そして終楽章、長丁場ゆえ最初から全開にはせず、ffとfffのメリハリをつけた設計性が印象的でした。
 最後の一音の後、拍手が始まるまで30秒程の静寂、BPOとの9番の際、同様に1分もの静寂が続いたのを思い出しました。ただ、9番の時はアバドが姿勢でやや演出したきらいもあっての静寂でしたが、今回はややリラックスした姿勢になった後も自然に続いた静寂だった気がします。ともあれ、この10数年で色んな意味で自然体になったアバドの到達点を見た感じです。

 今年は、ホーネック、ヴァンスカ、アバドと3人の異なるタイプのピアニッシモアーティストを聴くことが出来ました。

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