2007年12月28日金曜日

だらだらオマージュ - 法月綸太郎「生首に聞いてみろ」 

 昨日のオダギリジョーに続き、今日の麻生久美子の結婚にビックリ!

 夕方から10度以上の生暖かい風が吹き、そのうち本格的な雨に、夜は女子フィギュアの全日本選手権を観に帰り、その後はバイロイトのFM中継。

 新本格の雄の久々の長編(「生首」「暗黒館」)がこの秋に待望の文庫化、年末の愉しみに取って置いて、まず短い方から読みました。

生首に聞いてみろ 法月綸太郎
 有名彫刻家の遺作石膏像の首が切断されたことから始まる、10数年振りの綸太郎ものの長編事件簿。某有名作品へのオマージュと思える部分が多いです。比較的シンプルなプロットなのに描写がだらだらとしており、そのため読者がゆっくり考える余裕が出来て真相が割れやすいのが難点。ただ、巻末対談(角川文庫版)によると意図的にぐだぐだ書いているとのこと、疑問です。以前はエラリー並に悩んでいた綸太郎が、自分のミスで犯罪を防げなかった割には恬淡としてるのにも違和感があります。トリックとプロットの有機的な結合はなかなかだと思いますが、個人的には著者の最高作とは感じません。

 事件当時の1999年時点、携帯電話を有していない綸太郎は「電話ボックスが見つからない」とか「連絡が取れない、と友人に怒られる」など、僕と同じ不具合を経験してますが、2007年の今も同じく無ケータイなんでしょうか。だったら嬉しいんですけれど。

2007年12月24日月曜日

剣闘士と虎 - グラディエーター

 昨日の有馬にはただただ唖然、ウォッカもサムソンも馬群に沈みましたが、ダイワスカーレットは敗れてなお強し、の印象。

 スカッと晴れて冷え込み甘めで日中の気温もやや高め、少し風はありましたがまずまずのテニス日和、例年イブは暇な人が集まってテニス&コンパです。

 ジンジャーエールを頼んだ筈がアルコール入りカクテルが出てきて、それを半分飲んだだけでアルコール不耐症ゆえグロッギー、頭痛が激しく1次会でリタイヤ、予定より2、3時間早く帰って来てしまいました。またちょっとズキズキします。

 好きな映画を何回も観る、とは言っても一番繰り返し観たのはせいぜい4、5回くらい、「ベン・ハー」「テキサスの5人の仲間」「燃えよドラゴン」(「萌えよ」って変換されて驚きました(笑)。)あたりでしょうか。

 お気に入りの後輩が「20回くらいは観た」と言っていたのがこの映画、その娘に気に入られるべく録りだめした数十本のテープから発掘して速攻視聴。「ベン・ハー」的でした。

グラディエーター <'00 米>
 ご存知数々のオスカーに輝く剣闘士の復讐スペクタクル史劇、リドリー・スコットらしく描写が少しエグイですが、映像もなかなか凝っていて迫力十分。最後の展開はオイオイと思いましたが、長尺を感じさせず楽しめました。存在感たっぷりの敵役はあのリバー・フェニックスの弟とのこと。コロッセウムでの戦闘シーンの音楽が、ホルスト「火星」をあからさまにパクっていて笑ってしまいました。

 天頂では満月が火星を圧倒、今夜は冷え込みそうです。明日はアマオケのマーラーです。

2007年12月19日水曜日

インバル&都響の明快6番

 このところ夜空に一際輝いている火星、今夜が最接近とのことです。

 朝はマイナス3度(と言っても平年がマイナス2度)、曇りがちで日中も7、8度と寒めの一日。

 今夜はインバル&都響の6番、6番と言えば、自分にとっては30年程前にFMオンエアされたインバル&フランクフルト放響の本拠地でのライブがこの曲の原点で、第3楽章の美しさと終楽章前半の緊張感が最高でした。今日はどうでしょう。

12月19日(水) サントリーホール
 エリアフ・インバル指揮都響 マーラー Sym6番
(1階最前列で真ん前がチェロ、という席だったため音のバランスが悪く、感想はいつも以上に当てになりません。)
 曲順は従来型でアンダンテは第3楽章、インバルは1-2楽章と3-4楽章をそれぞれほぼ続けて演奏しました。気心知れているオケのせいか、最初の2楽章は強引な表情付けは少なめでオケ任せの部分も多く、アクもほどほど、第1楽章コーダでの緩急の激しさがやや印象的。第3楽章では表情付けが一段細やかで、木管の美しさと矢部達哉率いる弦のチャーミングさもあってここが白眉か。終楽章はやや速めのテンポでメリハリくっきりの音作り。Hrは全体を通じてよく鳴ってましたがTp,Tbにより一層の迫力が欲しかった感じです。

2007年12月4日火曜日

クリスティー好みの英国本格 - D.M.ディヴァイン「悪魔はすぐそこに」


 昨夜は宿題がなかなか終わらず、ちょっと一服と思い職場の床で一休み、気が付けば翌朝同僚に起こされていました。

 本日は晴れて気温も平年よりやや高め。昨日実家から届いたミカン、数えてみると今日は15個も食べてます、小粒ですけど。

 今日は先週読んだ本から。著者のD.M.ディヴァインは90年代半ば、「兄の殺人者」「五番目のコード」が相次いで翻訳され、「こんな凄い作家がいたのか!」と喧伝された英国本格派。

 ただ、その時は期待し過ぎて読んだせいか、特に感心した記憶は無く、両作の内容もよく覚えてません。それ以来の翻訳、と思ったら、知らない内にもう2作翻訳されていたとのこと、要チェックです。でも久々であることには変わりありません。ちょっと期待です。

悪魔はすぐそこに D.M.ディヴァイン
 大学を舞台にした本格物、あるスキャンダルを基点として怪死事件に発展します。動きの少ないプロットはマニア以外には辛いかもしれませんが、最後の方にはサスペンスも用意されています。黄金時代の作品に比べると人物描写が豊かなのが特徴か。クリスティ好みのミスディレクションはなかなか巧みでしたが、謎解きの興趣は薄く、論理的に推理する、という面は希薄、その点が自分の好みと少し合わないのかも。まあ、そこがクリスティー派とクイーン派(自分はこっち)を分けるポイントなのかもしれません。

 巻末解説の法月綸太郎氏の薦め(「初読時より面白いかも」「ルービンの壷」「まさに圧巻」など、「赤毛のレドメイン家」の乱歩状態)に従い、ざっと再読してみましたが、却って気になる矛盾点を発見してしまいました。

 明日はミッチーのショスタコです。

2007年12月2日日曜日

挑戦のマーラー5番 - 正門憲也&千代田フィル

いやあー、上原って本気出すとホント凄いっすね。これを見せられては、藤川の出番が無くても文句は言えません。早く大リーグでやらせてあげればいいのに。

 日中は昨日を上回るポカポカ陽気、午前中テニス、午後アマオケと典型的な休日でした。

 今日聴いたのは(たぶん)初めてのオケ、公演予定がフロイデに載ってなく、他のアマオケ公演での挟み込みチラシでも見かけず、ほんの数日前コンサートスクエアでマーラーをやることを知り、急遽申し込んだ招待チケットでの出陣です。

12月2日(日) ティアラこうとう
 正門憲也指揮千代田フィルハーモニー管弦楽団 マーラー Sym5番
宣伝不足のせいかアマオケの日曜公演にしては会場はかなりガラガラ、Tpソロは柔らかめでなかなかの音色でした。老舗にしてはまだ発展途上の感のあるオケは苦労している部分もありましたが、大きな破綻無く進行し、クライマックスではTb始めブラスもしっかり鳴って大団円、1曲プロのためかアンコールもしっかり用意されており、カヴァレリア・ルスティカーナを情感たっぷりと聴かせてくれました。

 明日までにやらなきゃならない仕事があって夕方には戻ったのに、日本vs.韓国に観入ってしまい気が付けばもう夜中、今夜は寝られないかも。

2007年12月1日土曜日

ミッチーのショスタコ全集、4番 - 井上道義&東フィル

今日はここ数日では一番暖かで、15度近くになりました。昨夜遅かったせいで練習スケジュールを把握出来ず、それをサボって午前中は職場へ。

 少し仕事をしながら、夕方のミッチーのショスタコ4番の安いチケットがネット上に出ないかウォッチ、しかし世の中そんなに甘くなく、結局当日券での参戦となりました。

12月1日(土) 日比谷公会堂
 井上道義指揮東フィル ショスタコーヴィチ Sym4番
10&13番とか8&15番など重量プロもある中、1曲プロでは申し訳ないと思ったか(どうかは知りませんが)、開演前に何と内田裕也をゲストに招いての軽いトークがありました。エキストラも混じってそうな大編成オケの演奏は(余りリハ出来てなさそうな割には)しっかりしたもので、ク-ルでは無いけれど激烈という程でも無いミッチーの踊りながらの表情付けにかなり応えていました。第1楽章の高速フーガなど少しハチャメチャになってましたがそれが却って迫力を生んでいる感じで、去年聴いた2つの演奏(大野&新日アシュケナージ&N響)と比べても、完成度はさておき、訴求力は一番感じました。ブラスも全開というレベルでは無いにせよ、終楽章などもまずまずの迫力でした。

 最後の音が終わる前に拍手を始める気の早いお客さんがいて、ミッチーに「シーッ」とたしなめられていました。でもミッチーは後で「ごめんごめん、でも分かってね」といった感じのジェスチャーも。

 これから宴会でまた午前帰り、明日はアマオケのマーラーの予定です。