2009年9月2日水曜日

古典再訪その1: ブランドのアクロバット - クリスティアナ・ブランド「ジェゼベルの死」

 4ゲーム差、僅かながら背中が見えてきました。

 晴れは2日と続かず、気温も25度に届かない低温に逆戻り、セミの声もすっかりトーンダウンです。寒さすら感じる宵の口、一時的に雲が晴れて覗いた夜空では月と木星がランデブーしてました。

 知人に貸すため帰省時実家で手に取った数冊の古典、ブランド「ジェゼベルの死」、クイーン「フォックス家の殺人」「九尾の猫」、マクロイ「暗い鏡の中に」、ふと見返しの出版年を見ると、4冊の内3冊まで(ジェゼベルの死、九尾の猫、暗い鏡の中に)が何と同じ出版年(1949年)です!

 何となくこの暗合に運命を感じて1冊読み始め、同年出版の3冊をつい全て再読してしまいました。今日はその中から。

ジェゼベルの死 クリスティアナ・ブランド
 衆人環視の舞台上で起きる不可能殺人にコックリル警部が挑みます。初読の時は分からなかったのですが、2人のシリーズキャラクター、コックリル警部とチャ-ルズワース警部の初競演という面白味も。メイントリックを覚えていての再読でも、やはり本格の極北に位置する名作と感じます。
<以下ネタバレに付き未読の方は飛ばして下さい!!>
ブランド作品に多い目くるめく多重解決の構成は、真相はどれでもいいじゃん、と思ってしまう弊を孕んでいますが、その中では本作が1番すっきり感がある気がします、首切りの必然性、という点で。

 これまた初読時にはその有難さに気付いてなかったのですが、巻末解説(早川ミステリ文庫版)は山口雅也です!

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