2011年8月9日火曜日

昭和平成女三代記+α - 桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」

昨日は立秋、つまりもう暦では今日から残暑、なのに本格的に夏が戻ってきました。何故か例年より立ち上がりの遅かった南茨城のサルスベリも、ようやく色んな所で濃いピンクの花を見せています。

 お昼前後はまずまず晴れて午後にはきっかり35度に到達、ひと月振りにして今年2度目の猛暑日、ただそれを記録したのが3時半前後だったせいか、お昼休みに壁打ちした時の暑さは昨日と同じ程度でした。

 本日は先日読んだ本から、2007年度このミス第2位に輝く作品にして、ライトノベル出身の著者が一般的に認知されるきっかけとなった作品でもあります。

赤朽葉家の伝説 桜庭一樹
 山陰で製鉄業を司る名家を舞台に戦後から平成までの現代史を兼ねて綴られる女系三代記、過去作品(「少女には向かない職業」「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」)にはあったミステリーへのオマージュ的香りのしない第1、2部は、年代記物が苦手なこともあって「小説としてはいいのかもしれないけど…」とやや不満でしたが、第3部に入っていきなりミステリーテイスト全開、それまでの(強いて挙げれば、って程度の)謎、"飛行人間"に殺人の謎も加わり、しかものうのうとミスディレクションまで(まんまと引っかかりました!)、ただミステリーマニアには嬉しいこの第3部、ブンガク的には評価を落とす部分かも。また年代記物は著名先行作が多いだけに、当初企図された如く、小説調→マンガ調→ライノベ調、と文体を明瞭に変えた方がオリジナリティがあって良かった気がします。

 裏日本に住み、かつそれ以外の土地にも少なからず滞在して初めて書けるであろう、裏日本の気候描写が印象的でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿