2011年12月20日火曜日

シリーズ第5作は99%メッセージ小説 - 海堂尊「イノセント・ゲリラの祝祭」

 昨晩スーパーで買い物した際のお釣りが360円、渡された硬貨には銀色のがジャラジャラ5個以上あって「多過ぎます」と言おうとしてよく見ると、何と! 50円玉7枚+10円1枚、って、あり得ないんですけど…。

 朝はマイナス4.6度とかなり冷え込み、通勤の5分程の自転車行でも手が少しかじかむ季節に、冬晴れの日中は10度強とほぼ平年並み、まだ壁打ちをすればすぐ温まる程度です。

 本日は先日読んだ本から、処女作「チーム・バチスタの栄光」から続く人気シリーズの(番外編を入れると)第5作、ですが、作を追うごとにミステリー臭が無くなっているのが気にかかるところ。 

イノセント・ゲリラの祝祭 海堂尊
 医療事故調査に関する組織設立に向けた厚労省の委員会の場で主人公コンビが奮闘する姿を通し、いつものAiの重要性に加え、医療行政の不備、医療と司法との綱引きなど、著者の思いをたっぷり主張する99%メッセージ小説、ミステリーどころか医療エンタとしてもジャンルぎりぎりの感、"桜宮サーガ"としては「螺鈿迷宮」から直接繋がり、やはり医療と司法の問題を据えた「極北クレイマー」の宣伝もちゃっかり、内容に全く犯罪が絡まないことを考慮したか、「このミス」08年版所収の短編「東京都二十三区内外殺人事件」を文庫化にあたり組み込んでます。

 田口医師の1人称記述、しかも"僕"じゃなくて"俺"という表現にやや違和感を感じ「前からそうだっけ?」と読み返してみると、確かに「チーム・バチスタ」はその通り、ただ「ナイチンゲール」「ジェネラル・ルージュ」は3人称記述でした。こんな所にも工夫を凝らしてたんですね。

 キャラ立ちエンタ系ミステリーから出発し、地歩を固めた時点でミステリー要素は気にせず、思いっきり言いたかったことを表明している感じ、実際彼のペンの力が行政を動かした訳で、その証左として動かされた側の政治家が巻末解説(宝島社文庫版)を書いているのが最も凄い点かも。

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