曇り時々晴れ、4日振りに25度超の夏日、とは言え30度には全く届かずいまだ平年より低め、それでもセミの声に元気が戻ってきました。
梅雨明け前後30度をキープしていた室温も、先週木曜からどんどん低下、昨夜は遂に25度に、悲しいです(涙)。
本日は昨日読了した本から、10年に1度の豊作とされた2010年の翻訳ミステリーシーンを味わうべく、同年「このミス」ランクイン本企画の第7弾は、第7位にランクされた本作、元ネタとされるヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」は未読なのでその関係はよく分かりません。
エアーズ家の没落 サラ・ウォーターズ
題名の通りイギリスの旧家が時代の流れに逆らえず、怪奇現象と共に没落してゆく様子を知人である医師の視点で描きます。お屋敷で起きる怪異そして恋愛、とゴシックロマンの体裁を取りつつミステリー的な匂いも漂わせ、ある意味予想外な結末へと誘います(詳しくは以下ネタバレ参照)。
<< 以下ネタバレにつき未読の方は飛ばして下さい!! >>
最後になっても怪奇現象の謎は解明されず、ゴーストストーリーなのかミステリーなのか、の判断を読者に委ねるリドルストーリー仕立て、よって著者の「半身」「荊の城」あたりをイメージして読むと肩透かしを食らいます。原題の"The Little Stranger"をメイドのベティと思えば彼女が犯人、主人公の医師(の子供時代)と思えば記述者が犯人、死んだ長女と思えばホラー、とざっと考えても3通りの解釈があり、個人的にはメイドと医者の無自覚共犯が最有力ですが、それでも矛盾は残ります。ただ、桜庭一樹によれば、怪異か人為か不明なままにするのは古典的ゴシックホラー常套の作法とのこと、ならば王道のゴシックホラーと言えるのかも。
半年ほどゆるゆると続けてきた2010年度このミス企画、トップテン作品で他に入手済なのはマイクル・コナリー「エコー・パーク」だけ、ただボッシュ・シリーズはまだ1作も読んだことが無く、初期作を100円棚で見つけては蒐集している段階ゆえ、これを読むのは当分先、ってことで本企画はひとまず終了です。
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